タイトル |
炭そ病菌によるセイヨウナシの果実腐敗 |
担当機関 |
秋田県果樹試験場 |
研究期間 |
1990~1994 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1991 |
成果の内容・特徴 |
- 技術・情報の内容及び特徴
- 秋田県で、セイヨウナシの追熟中に輪紋病とは異なる果実腐敗が多発し、その原因
を検討した結果、Colletotrichum sp.による新病害であることが明らかになり、病名を 北日本病害虫研究発表会(1992)においてセイヨウナシ炭そ病と提案した。
- 病徴:輪紋病は初め果点が褐変し、拡大して同心輪紋状の褐色病斑を形成する
のに対し、本病は、初め、果面に赤褐色~褐色の凹んだ斑点が現われ、拡大する につれて病斑上に黒い小粒状の分生胞子層を生じ、やがて鮭肉色の胞子粘塊を 形成する。病斑は後に中央部が陥没した不正円形を呈する(表1)。
- 発生は「マルゲリット・マリーラ」、「ラ・フランス」、「ル・レクチェ」、
「フレミッシュ・ビューティー」、「ミクルマス・ネリス」の各品種で見られた。
- ブドウ、リンゴ、ニセアカシア、イタチハギから分離された炭そ病菌は、いずれも
セイヨウナシに病原性を示し、伝染源になり得ることが示唆された(表2)。
- 技術・情報の適用効果
病徴が明らかになったことから、追熟中に発生する果実腐敗の診断に利用 できる。またセイヨウナシは他の樹種に寄生する炭そ病菌によっても発病する ことが明らかとなり、防除対策実施上の参考となる。
- 適用の範囲
セイヨウナシ栽培地帯
- 普及指導上の留意点
- 6~7月、及び9月以降に降雨の多い都市に発生が多く見られるので、雨の多い
気象下では散布間隔を7日とし、輪紋病の防除を兼ねて、キャプタン・ベノミル剤、 キャプタン・有機銅剤などを散布する。なお、本病に対する登録薬剤がないため、 今後、登録促進のための試験を行う必要がある。
- 樹園地の周辺にリンゴ、ブドウ、ニセアカシアがある場合には本病の発生に
留意する。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
病害虫
害虫
品種
ぶどう
防除
薬剤
りんご
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