タバココナジラミ幼虫が成虫まで発育できる寄主植物はバイオタイプBとQで異なる

タイトル タバココナジラミ幼虫が成虫まで発育できる寄主植物はバイオタイプBとQで異なる
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所
研究期間 2006~2008
研究担当者 飯田博之
本多健一郎
北村登史雄
発行年度 2009
要約 タバココナジラミは様々な植物を寄主とするが、バイオタイプBはインゲン(「ケンタッキー101」、「ナガウズラ」、「モロッコ」、「本金時」)では幼虫が羽化するまでに死亡する。しかし、バイオタイプQはこれらの植物でも60%以上の幼虫が羽化できる。
キーワード タバココナジラミ、バイオタイプ、生存率、寄主植物
背景・ねらい 侵入害虫であるタバココナジラミのバイオタイプBとQは、侵入以来、確実に日本での分布域を拡大している。両者とも様々な植物に寄生でき、農作物にすす病や生理障害を誘発するほか、トマト黄化葉巻病やキュウリ退緑黄化病、メロン退緑黄化病の各病原ウイルスを媒介する。さらに系統の異なる複数の薬剤に対して抵抗性を発達させる能力を持つことから、防除が困難な重要害虫である。しかし、防除対策を立てるにあたり重要な情報となる生態に関するデータの蓄積は不十分である。そこで、一般的に栽培される農作物におけるバイオタイプBとQのふ化率、幼虫期の生存率、産卵から羽化するまでの発育期間と寄主植物(品種)の関係を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. バイオタイプBとQの成虫を強制的に供試植物〔キャベツ、キュウリ、トマト、ナス、ピーマンおよびインゲン(「ケンタッキー101」、「ナガウズラ」、「モロッコ」、「本金時」、「サツキミドリ」)〕で飼育した場合(図1)、全ての植物に産卵し、卵がふ化する(表1)。
  2. バイオタイプQの幼虫期の生存率は、供試した全植物で60%以上であるが、バイオタイプBの幼虫は、ピーマンでの生存率が約6%、インゲンの「ケンタッキー101」、「ナガウズラ」、「モロッコ」、「本金時」では0%である。しかし、インゲン「サツキミドリ」での生存率は約40%である(表1)。
  3. バイオタイプQが羽化するまでの発育期間は、ピーマンで約35日、それ以外の寄主植物で24~29日であり、ピーマンで遅延する傾向がある。バイオタイプBについては、羽化できた植物間で発育期間に有意差は認められない(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. タバココナジラミが発育できない寄主植物あるいは品種を明確にすることは、タバココナジラミの発育を制御する植物側の要因を解明する上で貴重な情報になる。
  2. タバココナジラミの発育が寄主植物の品種間で大きく異なる要因を明らかにするためには、植物に含まれる化学物質、あるいは葉の微細構造等の品種間での違い、およびこれらの違いに対するタバココナジラミのバイオタイプ間での反応の違いを解明することが必要である。
  3. 供試したタバココナジラミバイオタイプBは2006年に三重県長島町のトマトで採集された個体群を、バイオタイプQは2004年に宮崎県西都市のピーマンで採集された個体群をそれぞれ23°C、16時間明期、8時間暗期に設定した恒温室でキャベツを寄主植物として累代飼育した個体である。
図表1 233856-1.png
図表2 233856-2.png
カテゴリ 病害虫 害虫 キャベツ きゅうり 生理障害 タバココナジラミ 抵抗性 トマト なす ピーマン 品種 防除 薬剤

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