タイトル |
ニワトリにおいてラウス肉腫ウイルス由来の腫瘍を消滅させる遺伝子座 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 |
2007~2008 |
研究担当者 |
三橋忠由
鈴木恒平
小林栄治
上本吉伸
山下秀次
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発行年度 |
2009 |
要約 |
ガン遺伝子srcを持つラウス肉腫ウイルス(RSV)由来の腫瘍を消滅させる能力を担う遺伝子座は少なくともニワトリの第16番染色体にあり、第16番染色体のMHC-Bローカス近傍のマイクロサテライト情報により、RSV-J型に由来する腫瘍の消滅能を持つニワトリの選抜が可能である。
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キーワード |
ニワトリ、ラウス肉腫ウイルス、腫瘍
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背景・ねらい |
ガン遺伝子srcを持つラウス肉腫ウイルスの感染により、ニワトリは腫瘍を発生し放置すればガン化し個体は時には死に至る。しかし、家畜改良センターが保存している系統11のニワトリにRSVを接種すると、腫瘍は発生するが30日間程度の後にはこれが自然消滅する。 当該形質を担う遺伝子座を明らかにし、腫瘍消滅形質を持つ個体を選抜するためのDNAマーカーを開発し、効果を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 腫瘍消滅能を持つ白色レグホーン種11系統雄2羽と腫瘍消滅能を持たないロードアイランドレッド種YS系統雌12羽の交配からF1世代雌雄計59羽を生産し、F1雌雄の交配によりF2世代雌雄計158羽を生産し、RSV-A型の感染試験を行った(第1家系)。また、上記系統の交配により得た別家系のF2世代91羽についてRSV-J型の感染試験を行った(第2家系)。
- 第1家系のP及びF1世代とF2世代のDNAマーカーのうち連鎖地図上の位置の明らかな250個を抽出し、第1家系の連鎖解析に用いた。第2家系については、第1家系において有意となった染色体について連鎖解析を行った。
- 第1家系(RSV-A感染試験)では、RSV-A由来の腫瘍の消滅に有意に関連する染色体領域が第4,16番染色体に認められ、第16番染色体の有意性の方が高い。また、第2家系ではRSV-J由来の腫瘍の消滅に関連する有意な領域は第16番染色体に認められる(図1)。
- 第16番染色体のMHC-BローカスにあるマイクロサテライトマーカーTR0871(図2)情報を基に、腫瘍消滅、腫瘍非消滅各ホモ型を第2家系F2世代から選抜し、F3世代として消滅型ホモ17羽と非消滅型ホモの個体11羽を作出しRSV-Jの感染試験を行った。その結果、腫瘍消滅型ホモF3の17羽のうち16羽の腫瘍が感染42日目までに消失し、1羽の腫瘍は縮小していた。腫瘍非消滅型ホモF3の11羽のうち10羽の腫瘍は進行していたが1羽の腫瘍は消滅した(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 腫瘍消滅形質を持つニワトリ家系の確立に貢献する。
- 腫瘍消滅はQTLによって支配されており、第4番染色体の情報が必要となる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
DNAマーカー
鶏
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