タイトル |
発酵リキッド飼料を離乳子豚に給与すると腸内細菌の多様度が高まる |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 |
2005~2007 |
研究担当者 |
田島 清
大森英之
川島知之
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発行年度 |
2009 |
要約 |
抗菌性飼料添加物が入っていない子豚用飼料を対照区とし、これを乳酸桿菌LQ80株で発酵させた発酵リキッド飼料(発酵区)、対照区に抗菌性飼料添加物を加えた飼料(抗生区)の3区を設定し、各区の飼料を離乳子豚に給与すると、発酵区の子豚は対照区、抗生区に比べて腸内細菌構成が変化し、盲腸内の細菌の多様度が高まる。
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キーワード |
発酵リキッド飼料、離乳子豚、腸内細菌、多様度
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背景・ねらい |
抗菌性飼料添加物の代替となる飼養技術開発が求められている。発酵リキッド飼料の給与は乳酸菌及び生成された乳酸による腸内細菌叢の改善効果があることが知られており、抗菌性飼料添加物の代替として期待されている。そこで、発酵リキッド飼料の給与が離乳子豚の腸内細菌叢に与える影響を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 表1に示した子豚用飼料に加水して乾物率30%とし、Lactobacillus plantarum LQ80(畜産草地研究所分離株)で乳酸発酵させた発酵リキッド飼料を調製する。
- 子豚用飼料を対照区とし、これに抗菌性飼料添加物を加えた抗生区、発酵リキッド飼料区(発酵区)の3区を設け、LWD交雑種の4週齢離乳子豚を各区3頭配置し4週間給与する。これを3回繰り返す。
- 回腸、盲腸内容物から直接DNAを抽出し、各区ごとに16SrRNA遺伝子を増幅してクローンライブラリーを作成する。得られた配列を解析して細菌の構成を求める。Libshuffプログラムを用いてライブラリー間の有意差検定を行い、Doturプログラムを用いて多様度指数を算出する。
- 回腸内容物ではLactobacillus属に含まれる配列が各区で90%以上を占め、Sacrina属のそれは対照区で高い。盲腸内容物では、Lactobacillus属に含まれる配列が対照区、抗生区で発酵区よりも高く、Dorea属のそれは発酵区で高く、未分類のLachnospiraceaeは対照区、発酵区で高くなる(表2)。
- Libshuffによる有意差検定では、盲腸内容物の対照区と抗生区を除き、有意差が認められる(表3)。
- 多様度解析の結果から、抗生区の盲腸において細菌の多様度の減少が認められ、発酵リキッド飼料給与により回腸、盲腸では細菌の多様度が高まる傾向が認められる(表4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 発酵リキッド飼料による抗菌性飼料添加物代替研究の基礎データとして活用できる。
- 腸内細菌の多様度が高まることにより病原菌の排除が促進され、消化管の健全性が高まることが推察される。
- 発酵リキッド飼料の調製にはL. plantarum LQ80を用いているが、現在まだ市販されていない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
豚
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