ペレニアルライグラスとメドウフェスクを識別するDNAマーカー

タイトル ペレニアルライグラスとメドウフェスクを識別するDNAマーカー
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 2004~2009
研究担当者 田村健一
米丸淳一
金森裕之
田瀬和浩
眞田康治
小松敏憲
山田敏彦
発行年度 2009
要約 ペレニアルライグラスとメドウフェスクを識別する143のDNAマーカーを開発し、うち107について両種における座乗染色体を決定した。これらのDNA マーカーには両種に対し高い識別能を示すものが含まれる。
キーワード フェストロリウム、ライグラス、フェスク、DNAマーカー、イネゲノム
背景・ねらい 再生と飼料品質に優れるライグラス類 (Lolium属)と越冬性等の環境ストレス耐性に優れるフェスク類(Festuca属)との属間雑種であるフェストロリウムは、北海道においては、土壌凍結地帯でも栽培可能な、放牧適性に優れる草種として期待が高い。フェストロリウムの育種を行う上で育種素材のゲノム構成が明らかになれば、表現型からだけではできない、ゲノム構成に着目した材料の選抜が可能となる。また両属に由来する有用形質に連鎖するDNAマーカーが開発できれば選抜の高精度化・効率化が期待できる。これらを行うためにはゲノム全体をカバーする両属の識別DNAマーカーを開発する必要がある。イネ科牧草はゲノム配列などの研究資源に乏しく、効率的なDNAマーカーの開発には近縁のイネのゲノム情報の活用が有効である。そこでイネゲノム情報を利用して両属を代表する種であるペレニアルライグラス(PR)とメドウフェスク(MF)の識別DNAマーカーを開発する。
成果の内容・特徴
  1. イネのゲノム情報を利用してプライマーを設計し、PCR産物がPRとMF間で多型を示すものをマーカーとする(図1)。
  2. ゲノム全体に散在するように開発されたPRとMF間で多型を示す計143の識別DNAマーカーの内訳は、電気泳動のみで多型を示すInsertion-deletion (Indel)型マーカーが61、制限酵素処理後に電気泳動して初めて多型を示すCleaved Amplified Polymorphic Sequences (CAPS)マーカーが82である。このうち107のPR/MF識別DNAマーカーのPR・MFにおける座乗染色体が決定されている(表1)。
  3. Indel型マーカーについてPRおよびMF各4品種・系統計64個体で試験した結果、図2a のように両種を完全に識別するものは61マーカー中15マーカーである。またCAPSマーカーについてバルクレベル(同じ品種・系統に由来する8個体のゲノムDNAを混合した状態)で図2bのように両種を完全に識別するものは82マーカー中49マーカーである。
成果の活用面・留意点
  1. 属間雑種のゲノム構成の解明や移入染色体領域の推定などに利用できる。
  2. プライマー配列などの各マーカーの情報は論文の掲載webページより入手できる(http://www.springerlink.com/content/n55l4n396437wvm8/122_2009_Article_1003_ESM.html)。
  3. 本成果の識別DNAマーカーはPRとMFを識別する目的で開発されており、イタリアンライグラスやトールフェスクなどの他種の解析は今後の検討を要する。
図表1 233902-1.png
図表2 233902-2.png
図表3 233902-3.png
カテゴリ 育種 イタリアンライグラス DNAマーカー 品種

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