タイトル |
レーザ制御を利用したロータリ耕うんによる耕盤均平作業技術 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター |
研究期間 |
2007~2009 |
研究担当者 |
堀尾光広
紺屋秀之
吉野知佳
林 和信
松野更和
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発行年度 |
2009 |
要約 |
レーザ光を利用して作業機高さを制御しながらロータリ耕うんを行い耕盤を均平化する作業法である。レーザ発光器の基準平面に対する不感帯幅変更による追従性の向上、チゼルなどの固定刃による機体上下動の抑制によって、耕盤の均平度を高めることができる。
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キーワード |
耕盤均平、ロータリ耕うん、チゼル、レーザ制御、不感帯
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背景・ねらい |
比較的高低差の少ないほ場の耕盤均平に利用されるレーザプラウは、作業速度5~8km/hの高速・高能率作業機であるが、制御によって作業機が頻繁に上下動を繰り返すハンチング現象を防ぐためレーザ光の基準水平面に対して比較的大きな幅の不感帯が設けられており、作業前のほ場表面の状態が良好な場合であっても耕盤均平度は±2cm程度である。直播栽培等で問題となるレーザ均平・代かき作業後の不等沈下を防ぐためには、より高精度な耕盤均平が求められる。そこで、±1cm程度の耕盤均平度を確保することを目的に、比較的作業速度が低いロータリ耕うん装置を作業機として利用した耕盤均平度向上技術を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- ロータリ耕うん装置の機体中央上方にレーザ受光器を装着(図1)し、レーザ制御で一定高さに保ちながら耕うん作業を行うことにより耕盤を均平化する作業法である。
- 供試したロータリはサイドドライブ方式で耕幅2.0mである。ロータリ爪軸後方に、ウイング刃(幅約20cm)付き先端部を持つチゼルを最大9本まで装着できる構造である(平成19年度成果情報)。供試トラクタは、レーザ制御による3点リンク油圧昇降機能を持つ55kWのホイール式トラクタである。供試レーザ制御装置のレーザ光基準水平面に対する標準の不感帯幅は±15mm程度で、トラクタ側の感度を変えることにより約1/3(±5mm程度)に狭めることができる。
- 不感帯幅を狭くしたとき、ロータリ耕うん時は機体重量とロータリ爪打込み反力により常時上下方向への負荷がかかっているためチゼル非装着でも耕うん作業は可能であるが、ハンチングの発生により機体は安定しない。チゼルを装着し機体の上下動を押さえることにより、現状のレーザ制御の1/3程度まで不感帯幅を狭くしても円滑な耕うん作業が可能となる(図2)。
- 標準偏差12mm、±10mm以上の割合43%の田面均平度のほ場で、等間隔にチゼルを5本配置し、作業速度約2km/s、不感帯幅を標準の1/3程度としてレーザ制御によるロータリ耕うん作業を行ったときの耕盤の均平度は、標準偏差7mm、±10mm以上の割合10%以下である(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- レーザ均平機等によりほ場表面を均平化する前に本技術で耕盤を均平にすることによって、ほ場の作土深さの均一化、水稲栽培の安定化に活用することができる。
- 本成果は、土壌条件及び使用する機器によってその効果が異なることに留意する必要がある。
- レーザ制御の不感帯を狭くするには、トラクタの3点リンク油圧制御の感度を変更する手段、装置を持つことが必要である。
- 湿潤な土壌や稲わらなどの残さが多いほ場では、チゼル直刀部付近への土壌の付着や残さの絡みつきを防ぐため、チゼル本数を少なくして作業することが望ましい。また、サイドドライブ式ロータリのため、サイドカバー下端が最大耕深を規制することで均平度を損ねることのないよう、基準水平面を適切に設定することが必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
高能率作業機
直播栽培
水稲
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