熱帯多雨域を対象とする衛星観測情報を用いた土地利用データ作成手法の開発

タイトル 熱帯多雨域を対象とする衛星観測情報を用いた土地利用データ作成手法の開発
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2006~2010
研究担当者 内田 諭
Rizatus Shofiyati
発行年度 2009
要約 観測条件の良いLandsatデータの年間取得数が極めて少ない場合でも、複数年分用いることで、地表面状態の年間の変化を推定し、土地利用を判別することが可能となる。これにより、雲の影響を強く受ける熱帯多雨域を対象とした30mメッシュの土地利用データが整備される。
キーワード 土地利用、判別手法、Landsat、熱帯多雨域
背景・ねらい 本成果は、衛星データによる土地利用判別が困難である熱帯多雨域に適用できる、土地利用データ作成手法の開発を目指したものである。この地域では、作付時期が多様である一方、条件良く観測した衛星データの取得数が少なく、同一年のデータを用いた土地利用判別は困難である。ここでは、複数年に渡り得られた衛星観測情報から、同一地点の地表面被覆状態の年間での変化を推定し、雲の影響を取り除いた土地利用データの作成手法を開発し、効果を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 現地での観察によって、同一の土地利用であっても、1時点では地表状態は様々に異なる場合があるが、土壌、植生、水分による被覆の程度を年間の最大値で表すと、土地利用種毎に共通した特徴が見られる。水田の場合、いずれも年間最大値も高くなり(図1)、畑地の場合、土壌と植生の年間最大値は高いが、水分の年間最大値は低い。
  2. 複数年に渡るが、多時点において得られたLandsatデータに対し、いずれも値域が-1から1となる、土壌に関する2指数(NDBSI (Normalized Difference Bare Soil Index):正規化裸地指数、NDSI (Normalized Difference Soil Index):正規化土壌指数)、植生に関する1指数(NDVI (Normalized Difference Vegetation Index):正規化植生指数)、水分に関する2指数(LSWI (Land Surface Water Index):地表水指数、NDWI (Normalized Difference Water Index):正規化水指数)を適用し、年間の土地被覆変化を推定し、土地利用を判別する手法を開発した(図2)。
  3. 本手法により、雲の被覆の影響が大きいインドネシア・ジャワ島西部を対象に、複数年に得られたLandsatデータを組み合わせ、雲の影響を取り除いた30mメッシュの土地利用データを作成し図として表した(図3)。
  4. 高空間分解能データ(QuickBird)から判読される土地利用との比較によって判別精度を検証したところ、単時点のLandsatデータを用いて判別した場合、全体で45.1%の正答率であったものが、本手法では59.9%に向上した。また、水田に関しては、単時点データによる正答率が63.6%であるのに対し、本手法では87.9%となった(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. インドネシア国内機関では、Landsat衛星データの画像を目視判読して土地利用図を作成してきたが、本手法により画素単位の判別を実現し、より正確な土地利用データが作成される。
  2. 最近になり、グローバルな30mメッシュ標高データが利用できるようになったが、同程度の空間分解能の土地利用データを作成することで、様々な地域の農業環境の分析が効果的に行える。
  3. 衛星の多波長データ成分を直接に用いるのではなく、地表状態の変化に着目した土地利用の判別であるため、項目や観測時期の偏りによっては判別の正答率が低くなる場合がある。
図表1 234238-1.gif
図表2 234238-2.gif
図表3 234238-3.gif
図表4 234238-4.gif
カテゴリ 水田

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