小笠原海域におけるメカジキの生態と漁場形成

タイトル 小笠原海域におけるメカジキの生態と漁場形成
担当機関 東京都小笠原水産センター
研究期間 2006~2008
研究担当者 山口邦久
発行年度 2009
要約 近年、急成長した小笠原近海におけるメカジキ立縄漁について、効率的操業と、資源の持続的利用を図るため、本種の生態調査を行った。PAT-tagによる標識調査で、漁場付近に数ヶ月滞遊する個体と、短期間に北上する個体のあることがわかった。日中の漁場は、水深440~700mで、10℃台の水温帯を中心形成された。5~6月に生殖腺が著しく発達することから、この時期が産卵期と推測された。
背景・ねらい 小笠原近海では近年、「立縄」によるメカジキの水揚げが急速に伸び、生産額が3億円を超える漁業に成長した。漁業者の中には乱獲を心配する声もあり、効率的操業と資源の持続的利用の、両者の両立が求められている。そこで、漁業者の協力も得て、回遊経路や漁場形成要因等に関する調査を行った。調査を通じ、漁業者に対し、資源保護への意識啓発を図った。
成果の内容・特徴 6尾についてPAT-tag標識を行った結果、小笠原近海に最大100日滞遊する個体があった。一方、大型魚では短期間のうちに北~東北東海域に大きく移動した個体があった(図1)。操業は日中行われるが、漁場水深は440~700mで、とくに10℃の水温帯で多く漁獲された(図2)。胃内容物をみると、イカ類と魚類が主体で、アカイカの産卵時期に当たる11~12月には、とくにイカ類の出現割合が高かった(図3)。周年にわたり雌のKG値変動を調査した結果、5月中旬~6月中旬に著しく高い値を示したことから(図4)、この時期が産卵期と推測された。6月には、漁場が父島の西側に形成される頻度が高く(図5)、産卵と関連する行動と考えられる。
成果の活用面・留意点 効率的操業を支援するため、調査船が海洋観測を行った際には、水温10℃台の水深を漁船に無線で速報している。また近年、海面高度偏差図から深層水温を推測する技術が開発されており、この関係を利用し、漁場予測を行う手法を検討中である。一方、資源の持続的利用を図る観点から、漁業者に対し、小型魚の標識放流を指導・奨励しており、資源保護と小型魚の生態把握という2面効果をあげている。
図表1 234264-1.png
図表2 234264-2.png
図表3 234264-3.png
図表4 234264-4.png
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