サバヒー種苗生産技術開発

タイトル サバヒー種苗生産技術開発
担当機関 鹿児島県水産技術開発センター
研究期間 2004~2008
研究担当者 柳 宗悦
発行年度 2009
要約 平成18~20年度まで3年連続で採卵に成功した。サバヒーの成熟・産卵に必要な条件は(1)海水による長期飼育、(2)冬季加温水による飼育(20℃以上)、(3)大型円形水槽による飼育の3点であることがわかった。本種は28℃以上の水温で産卵を開始し、27℃を下回ると産卵は終了するものと推察された。種苗生産は小型(1t)の透明パンライト水槽において1t当たり約1万尾の飼育が可能となった。
背景・ねらい 鹿児島県奄美地域の基幹漁業であるカツオ一本釣り漁等に使用しているキビナゴ資源が減少し、操業に支障をきたす状況となったため、その代替餌料として「サバヒー」に着目し、平成10年度から県水産試験場で親魚養成を開始した。並行して平成12年度よりインドネシアから輸入種苗を導入し、活餌として利用できるサイズまでの飼育試験を開始し、その後、活餌としての有効性を調査し、一定の成果を上げてきた。
なお、当研究では自前で養成した親魚から採卵・種苗生産をすることを目的に、主に親魚養成、種苗生産技術開発試験を行った。
成果の内容・特徴
1.親魚養成・採卵試験
親魚の由来は、平成10年にインドネシアより輸入した種苗を継続飼育したものと、平成12年に本県瀬戸内町にて採捕したもので、平成16年度から本センターの100t水槽(収容尾数59尾)で海水による養成を行った。給餌は配合飼料のみとし、周年、8~17時の間は蛍光灯を点灯し照度管理を行った。その結果、平成18年度に国内初となる採卵・種苗生産に成功し、平成20年度まで3年連続で種苗生産に成功した。過去3箇年の採卵実績(表1)より、成熟・産卵に必要な条件は、(1)海水による長期飼育、(2)冬季加温水による飼育(20℃以上)、(3)大型円形水槽による飼育の3点であること、産卵適水温は28℃以上で、27℃を下回ると産卵の終期を迎えるものと推察された(図1)。
2.種苗生産試験
平成18~20年度に実施した小型の透明パンライト水槽の生産試験では、ふ化3日目辺りから生物餌料であるワムシを積極的に食べ始め、水槽1t当たり約1万尾の生産に成功した。一方、大型のコンクリート水槽ではふ化7日目まで摂餌不良が原因と思われる大量斃死が発生し十分な生産ができなかった。そこで、平成20年度には照度に着目し照度の違いによる初期摂餌等の比較試験を実施したが、パンライト水槽では初期摂餌量の有意差が確認されたもののコンクリート水槽では確認されなかった(表2)。なお、3箇年の生産実績については平成18年度が18千尾(47mm)、平成19年度が52千尾(17mm)、平成20年度が36千尾(17mm)となっている。
成果の活用面・留意点
  • サバヒーの成熟・産卵に必要な環境条件が明らかとなった。
  • 産卵適水温(28℃以上で産卵開始,27℃以下で産卵終了)がほぼ明らかとなった。
  • 小型の透明パンライト水槽では1t当たり約1万の種苗生産ができるようになった。
図表1 234297-1.jpg
図表2 234297-2.jpg
図表3 234297-3.jpg
図表4 234297-4.jpg
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