広い水温域に適応したノリ優良株「ゆたか」の開発

タイトル 広い水温域に適応したノリ優良株「ゆたか」の開発
担当機関 佐賀県有明水産振興センター
研究期間 1999~2007
研究担当者 三根崇幸
横尾一成
荒巻 裕
久野勝利
川村嘉応
発行年度 2009
要約 ノリ選抜株「ゆたか」の特性を野外養殖試験で評価した。本株は、広い水温域(25℃~6℃)で高い生長性を示した。また、乾ノリ製品の質も良好であった。本株を利用することによって、安定したノリ生産が期待される。
背景・ねらい 近年、地球温暖化に伴う海水温の上昇が指摘されており、有明海においても水温が上昇傾向にある。漁場の高水温は、ノリの生長不良を引き起こすため、収量の減少および製品の品質低下につながる。このため、高水温も含めた広い水温域に適応可能なノリ優良株の開発が強く求められている。
そこで、広い水温域で生長が良く、かつ製品の質も良いノリ優良株の開発を試みた。
成果の内容・特徴 室内培養試験において、生長性が良い株「ゆたか」を選抜し、野外養殖試験(写真1)でその特性を評価した。
(1)高水温環境下での生長
2005年度秋芽網期の水温は平年よりも高い傾向にあり、特に、採苗後約1週間は25℃前後と著しく高かった(図1)。2005年度秋芽網期38日後における「ゆたか」の葉長は、対照株(佐賀5号)の約2倍であった(図2)。
(2)低水温環境下での生長
2005年度冷凍網期の水温は平年よりも低く、特に、開始後約1週間は約6℃と著しく低かった(図3)。2005年度冷凍網期冷凍網張り込み15日後における「ゆたか」の葉長は、対照株の約2.4倍であった(図4)。
(3)乾ノリ製品の質
漁業者へのアンケート調査の結果、「ゆたか」の製品には、既存の養殖品種に劣らない色艶および味が認められた。
以上の結果から、「ゆたか」は、広い水温域(25℃~6℃)で生長および品質が良い特徴を持つことが明らかとなった。本株を利用することによって、広い水温域で安定したノリ生産が期待される。
成果の活用面・留意点 「ゆたか」は平成19年1月、佐賀県有明海漁業協同組合の「奨励品種」に登録され、平成19年度漁期から県内の漁業者に利用されている。
図表1 234301-1.jpg
図表2 234301-2.jpg
図表3 234301-3.jpg
図表4 234301-4.jpg
図表5 234301-5.jpg
カテゴリ 品種

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