標識放流からみたガザミ軟甲個体の移動と再放流効果

タイトル 標識放流からみたガザミ軟甲個体の移動と再放流効果
担当機関 福岡県水産海洋技術センター
研究期間 2005~2007
研究担当者 宮本 博和
金澤 孝弘
発行年度 2009
要約 有明海福岡県海域において、ガザミ脱皮後の軟甲個体(「ヤワ」・「寸(チョイ)」の2銘柄)の再放流効果を検証し、さらに、知見が少ない軟甲個体の移動生態を把握するため、標識放流を実施した。その結果、軟甲個体の再捕率は9.5%であり、放流個体による再生産への寄与、漁業者の資源管理意識の向上等まで考慮すると、軟甲個体の再放流は実施意義のある手法であること、等が明らかとなった。
背景・ねらい 近年、「漁獲されたガザミのへい死が夏季に増加する」との情報が寄せられていた。死亡したガザミは商品価値が著しく低下するため、その対策が急務である。これまでの研究の結果、夏季における漁獲されたガザミの死亡率の増加要因は、高水温と脱皮後の背甲の軟らかさであり、その対策としては、(1)水温上昇の抑制(漁船の活魚槽や蓄養施設の海水冷却)、(2)軟甲個体の再放流が有効であることが明らかになった。
一方、ガザミの漁獲量は近年低水準で推移し、それに伴い漁家経営も不安定なため、活魚槽への海水冷却装置の設置等、コストがかかる手法には即応しづらい面がある。そこで、本研究では、もう一つの対策である軟甲個体の再放流導入実現の可能性を検討し、併せて知見が少ない有明海区における軟甲個体の移動生態を把握することを目的に調査・解析を行った。
成果の内容・特徴
(1)放流結果:
福岡県地先の3箇所から2005~2007年の3年間で軟甲個体(ヤワ・寸)を主体に計1,117尾を放流した(図1、表1)。
(2)再捕状況:
市場・漁協等に周知を行った結果(図2)、合計102尾が再捕され、再捕率は9.1%、軟甲個体(ヤワ・寸)に限定すると、9.5%であった(表2,3)。また、有明海の湾外部である橘湾や天草灘からも再捕報告があり、広域回遊することが確認された。報告率の低さや標識作業に伴うへい死等を考慮すると、実際の軟甲個体再放流導入時の再捕率はさらに向上するものと見込まれる。さらに、再捕された雌の抱卵も複数確認され、放流個体による再生産への寄与も明らかとなった。加えて漁業者自身の資源管理意識の向上効果も考慮すると、軟甲個体の再放流は実施意義のある手法と考えられた。
成果の活用面・留意点 ガザミ漁業者に対し、有明海におけるガザミ移動状況の説明や軟甲ガザミ再放流導入のための資料とする。
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図表2 234305-2.png
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カテゴリ 経営管理 コスト

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