インド北東部のカンキツグリーニング病原細菌はアジア共通型である

タイトル インド北東部のカンキツグリーニング病原細菌はアジア共通型である
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究期間 2009~2010
研究担当者 宮田伸一
加藤 寛
冨村健太
岩波 徹
発行年度 2010
要約 インド北東部より採集されたカンキツグリーニング病原細菌の分離株の遺伝的多様性は、16S rDNAおよびomp遺伝子領域の塩基配列の比較により、日本を含むアジアやアメリカに発生するアジア共通型と一致し、既報のインド分離株とは異なる。
キーワード カンキツグリーニング病原細菌、アジア共通型分離株、16S rDNA系統解析、一塩基多型(SNPs)
背景・ねらい カンキツグリーニング病は世界各地のカンキツ生産地で発生し被害をもたらしている。そのなかでも最も多くの国・地域で感染域を拡大している病原細菌はCandidatus Liberibacter asiaticus(Las)である。その起源や侵入経路を調査するために、16S rDNAの塩基配列によるLasの分子系統解析が行われている。これまでインドで報告されている分離株には、他のアジア地域と異なる遺伝的な多様性が指摘されてきた。そこで、東南アジア地域に近いインド北東部のLasの遺伝的多様性を調査し、日本・東南アジア・アメリカの分離株(アジア共通型)や既報のインド分離株と比較することにより、アジア地域におけるLasの起源や遺伝的変異の発生と地理的分布に関する知見を得ることとする。
成果の内容・特徴
  1. Lasの遺伝的多様性が予想されているインド北東部(シッキム州、西ベンガル州、メガラヤ州)から14サンプル、アジア共通型の発生が予想されるオセアニアの東ティモールの3サンプル及びパプアニューギニアの2サンプルについてPCR検定から、これらの地域ではLas型のカンキツグリーニング病が発生していることが確認できる(図1)。
  2. 19分離株の16S rDNA塩基配列は、アジア(日本、台湾、ベトナムなど)や北南米(フロリダ州、サンパウロ州)のLas分離株のものと完全に一致する。これら共通の16S rDNA配列をもつアジア共通型のインドでの発生を確認したのは本研究が初めてである。
  3. 19分離株のomp遺伝子周辺領域の塩基配列における一塩基多型(SNPs)は、ずれも既報のアジア共通型より見出された3種のSNPsのいずれかと一致し、遺伝的に大変近い(表1)。
  4. 最初に塩基配列が報告されたPoona株(インド・プネー)や他のインドの分離株ではアジア共通型と比べて3~6塩基に変異が認められ、近隣結合法(NJ法)による分子系統樹では明らかに異なる分岐をしている。このことから明らかに、Poona株などインド分離株はLasの分子系統解析の指標として不適切である(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 世界各地で新たなカンキツグリーニング病の発生が確認された際に、Lasの正確な分子系統分類を行うためには、アジア共通型の16S rDNA配列を指標としてゲノム変異を比較することが望ましい。
図表1 234455-1.png
図表2 234455-2.png
図表3 234455-3.png
カテゴリ その他のかんきつ

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