タイトル |
ブルームレスで果皮の光沢が優れる中間母本「きゅうり中間母本農6号」 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所 |
研究期間 |
1999~2010 |
研究担当者 |
坂田好輝
森下昌三
杉山充啓
小原隆由
吹野伸子
小島昭夫
吉岡洋輔
下村晃一郎
野口裕司
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発行年度 |
2010 |
要約 |
「きゅうり中間母本農6号」は、果実の表面の白粉(ブルーム)が発生しないため、果皮の光沢が優れる。光沢のあるキュウリ品種育成のための素材として利用できる。
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キーワード |
キュウリ、光沢、ブルーム、無毛
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背景・ねらい |
果実表面に白粉(ブルーム)がないキュウリ果実は、ブルームレス台木(ケイ酸の吸収量が極端に少ないため、ブルームが発生しないカボチャ品種)に接ぎ木することで生産される。しかし、ブルームレス台木を利用した場合、地上部病害の褐斑病やうどんこ病に罹病しやすくなる。ブルームレスキュウリ品種を開発することができれば、台木の種類を問わず、光沢のあるキュウリ生産が可能となる。すなわち、かつて広く利用された生産性の高い雑種カボチャ「新土佐」や土壌病害のホモプシス根腐病抵抗性で低温伸長性に優れるクロダネカボチャを、キュウリの台木として用いることが可能になる。そこで、ブルームレス品種育成のための中間母本を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 「きゅうり中間母本農6号」は、わが国の節成型市販品種「翠星節成」((株)久留米原種育成会)とNorth Carolina州立大学から導入した完全ブルームレス性で無毛(茎葉に毛じが無い)のキュウリ系統NCG90との交雑F1個体に、「翠星節成」を3回連続戻し交雑し、光沢性と果実形質をもとに選抜・固定した系統である(図1)。
- 果実表面にはブルームが無い(表1)。わが国の一般的なキュウリ品種に比べ、果実はやや短い。果皮は緑色で斑紋は無い。果実表面にイボ・トゲが無い。ブルームレス素材のNCG 90に比べ、果皮の斑紋が無く、果実は長くなり、食味、収量性が優れる(図2、表1)。
- 茎葉には毛じがない。葉はやや小型で、節間長はやや短い。市販品種「フリーダムハウス2号」((株)サカタのタネ)および「翠星節成」に比べ側枝の発生は低率で、側枝の節間長も短い。混性雌花型であるが、雌花率が高いため全雌性を示すことも多い。単為結果性を有する(表1)。
- ブルームレス個体は常に無毛であり、無毛個体は常にブルームレスであることから、ブルームレス性と無毛性は、強く連鎖しているか、同一遺伝子の多面発現と考えられる。無毛性は単因子劣性に遺伝するため、ブルームレス性の遺伝様式は単因子劣性と推定される(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 「きゅうり中間母本農6号」は、ブルームレスで光沢のあるキュウリ品種育成のための素材として利用できる。子葉展開時に無毛性を肉眼で確認することで、ブルームレス個体の早期選抜が可能である。
- 側枝の発生・伸長がやや不良であるため、収量性が低い。側枝発生の良いキュウリ品種・系統を交雑することにより収量性を向上させることが必要である。
- 葉に生理障害様のかすり状の斑点を生じやすい。
- 草勢が弱いときには開花した雌花の肥大が途中で止まり、落果することがある。
- 病虫害抵抗性は特に有していない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
うどんこ病
かぼちゃ
きゅうり
生理障害
台木
単為結果
接ぎ木
抵抗性
根腐病
品種
良食味
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