畜舎汚水浄化槽からの飛沫・浮遊細菌発生は感水紙とフィルム状培地で把握可能

タイトル 畜舎汚水浄化槽からの飛沫・浮遊細菌発生は感水紙とフィルム状培地で把握可能
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2010~2010
研究担当者 田中康男
山下恭広
荻野暁史
池口厚男
発行年度 2010
要約 畜舎汚水処理に用いられる活性汚泥法では汚水に通気する曝気槽が不可欠である。通気による飛沫および空中浮遊細菌の発生状況把握や、発生抑制技術の効果検証のための飛沫および浮遊細菌の相対量把握には、感水紙および市販フィルム状培地が活用できる。
キーワード 畜舎汚水処理、曝気槽、飛沫飛散、感水紙、フィルム状培地
背景・ねらい 有機性汚水の代表的な浄化法である活性汚泥法では、汚水に通気を行う曝気槽が必要不可欠である。都市下水処理では、曝気槽からの飛沫発生に関して従来から多くの調査・研究がなされ、対策も講じられているが、畜舎汚水処理では、ほとんど情報がない。このため、畜舎汚水処理用曝気槽から発生する飛沫および細菌の相対量を簡易に把握する手法を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 畜産草地研究所内畜舎汚水浄化用曝気槽での飛沫発生を、農薬散布時の飛散状況把握などに利用されている感水紙法でモニタリングした。感水紙(シンジェンタ社製)は水分が付着すると青く変色する性質を有することから、飛沫が付着すると青色のスポットが形成される(図1左)。このスポットの数を、目視または自動コロニーカウンターで計数することにより、飛沫飛散の状況を容易に把握できる。
  2. 細菌の飛散状況を、市販の一般細菌用フィルム状培地(住友スリーエム社製ペトリフィルム培地)を利用した落下法でモニタリングした。培地の曝露時間は15分とし、35±1℃で48時間培養を行うと、赤色のコロニーが形成され自動コロニーカウンターで容易に計数できる(図1右)。
  3. 曝気槽周囲に幅2mのラッセル織ネット(目合1mm、防風率70%)(図2左)を壁状に設置し(図2右)、四方向のネット直近の内面と外面において飛沫数(15分曝露)と落下細菌数を上記手法で計数し比較した。結果の一例を図3に示す。内面の計数値合計に対する外面の計数値合計の割合は飛沫で9%、落下菌数で29%と、外面では顕著に低下した。この結果は、ネットによる飛沫および細菌の透過阻止効果を示唆する。
  4. 上記のネットを曝気槽の全周(長さ60m)に設置する前と後で、曝気槽周辺4方向、6m範囲内の飛沫数を感水紙法(60分曝露)で計測し飛散率(飛散率%=4方向の距離3mおよび6m地点の総飛沫数÷4方向の距離0mの総飛沫数×100)を算出した。測定時の平均風速と飛散率の関係(図4)より、ネット設置により飛散が抑制される傾向が示唆された。
成果の活用面・留意点
  1. 曝気槽からの飛沫発生は、農薬散布時の飛散状況調査などに使用されている感水紙を所要箇所に5~60分置いた後、青色のスポットを計数する手法で容易に把握できる。
  2. 浮遊一般細菌は、市販フィルム状培地を使用した落下法で容易に把握できる。
  3. 感水紙は、高湿度条件下では全体的に変色するので、湿度の低い気象条件の時を選んで計測を実施する必要がある。
  4. 感水紙法、落下法ともに、相対的な比較データとしては有用であるが、単位空気量当たりの存在量を把握するような定量的データは得られない。
図表1 234534-1.png
図表2 234534-2.png
図表3 234534-3.png
図表4 234534-4.png
カテゴリ 病害虫 農薬 モニタリング

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