タイトル |
豚の屋外飼育によりふん中の細菌の多様性が高まる |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 |
2008~2010 |
研究担当者 |
田島 清
大森英之
川島知之
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発行年度 |
2010 |
要約 |
屋外飼育されている豚と屋内飼育されている豚から新鮮ふんを採取し、16S rRNA遺伝子を用いてふん中の細菌構成を解析すると、屋外飼育ではふん中の未知菌種が増加し、多様性が高まることが示唆される。
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キーワード |
屋外飼育、肥育豚
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背景・ねらい |
南九州において発酵飼料給与と屋外飼育を組み合わせて、抗菌性飼料添加物を使用することなく豚の生産を行っている農家がある。これら屋外飼育されている豚の腸内細菌叢は、屋内飼育の豚とは異なることが予想されることから、ふん中の細菌構成を遺伝子レベルで調べ、屋外飼育が腸内細菌に与える影響を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 食品残さをLactobacillus plantarumで発酵調製した飼料を給与され、屋外飼育されているバークシャー種、体重30kgおよび80kgの肥育豚各3頭から新鮮ふんを採取する。畜産草地研究所において、食品残さをL. plantarumで発酵調製した飼料を給与され、屋内飼育されている体重30kgのLWD交雑種肥育豚3頭から新鮮ふんを採取する。
- 採取した新鮮ふんから直接DNAを抽出し、それらに含まれる16S rRNA遺伝子を増幅してクローンライブラリーを作製し、遺伝子配列を明らかにする。得られた配列はBLASTを用いて既知菌種との相同性を解析し、Libshuffプログラムを用いて細菌構成を有意差検定する。また、多様性解析プログラム(DOTUR)により検出菌種数と多様性指数を算出する。
- 16S rRNA遺伝子配列の相同性から既知菌種と未知菌種の割合を算出すると、屋外飼育することにより、未知菌種の割合が増加することが認められる(図1)。
- 屋外飼育と屋内飼育された豚のふん中の細菌構成には有意差が見られる(表1)。遺伝的距離を基に多様性指数を算出すると、屋外飼育することにより検出菌種数と多様性が高まる(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 飼育環境が腸内細菌叢に与える影響を知る上での基礎になる。
- 屋外飼育されている豚は、肥育前期から出荷まで耕作放棄地で飼育され、自由に運動出来る。また、給与飼料の他、土壌、雑草等を採食することが可能である。
- 未知菌種がどの様な働きをしているかは不明である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
雑草
出荷調整
豚
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