鳥インフルエンザウイルスの鶏伝播力はウイルス排泄量と相関する

タイトル 鳥インフルエンザウイルスの鶏伝播力はウイルス排泄量と相関する
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2006~2010
研究担当者 塚本健司
鈴木耕太郎
多田達哉
岡田浩尚
伊藤寿浩
発行年度 2010
要約 病原性が高く、短時間に鶏を死亡させるウイルスは排泄されるウイルス量が少なく、伝播しにくいと考えられていたが、実際には鶏伝播性は病原性と相関し、病原性が高いウイルスほど短時間に鶏から大量に排泄され、急速に伝播する。
キーワード 鳥インフルエンザ、病原性、伝播性、ウイルス排泄
背景・ねらい 鳥インフルエンザウイルスの野外における鶏伝播性はウイルスの病原性以外に、気温・湿度、鶏の飼育方法と密度、感染羽数などによって大きく影響されることから、鶏伝播性を規定するウイルス側の要因は未だに明確にされていない。現在の仮説では、病原性が高いウイルスは鶏を短時間に死亡させるために、ウイルスの排泄量は少なく伝播しにくいが、病原性が低いウイルスは長期間にわたり排泄されるために伝播しやすいと考えられているが、検証が必要である。本研究では、鶏伝播性に関係するウイルス側の要因を明らかにすることを目的として、死亡に至るまでの時間が異なる高病原性鳥インフルエンザウイルス3株を用いて、接種鶏からおとり鶏への伝播を比較し、鶏伝播性に関係するウイルス側の要因を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 伝播実験に用いた3株の高病原性ウイルスH5N1株のうち、A/chicken/Yamaguchi/7/2004 (CkYM7)は最も鶏病原性が高く、A/chicken/Miyazaki/K11/2007 (CkMZ11)は中程度で、A/duck/Yokohama/aq-10/2003 (DkYK10)は最も低いが、鶏感染必要量は3株とも同じである(102.5 EID50)。
  2. ウイルスの接種量が増加すれば、死亡時間は短くなるが、いずれの株においても発熱の程度は感染量とは関係なく、株毎にほぼ一定している。
  3. 陰圧アイソレーターの中央を網で2つの小部屋に分け、一方に接種鶏5羽と同居おとり鶏5羽を、他方に別居おとり鶏8羽を入れ(図1)、おとり鶏への伝播性を調べると、CkYM7は急速に、CkMZ11は中程度に、またDkYK10はゆっくり伝播する(図2)。伝播(死亡)時間は、無線体温センサを用いて鶏の死亡時間から正確に積算された。
  4. 高病原性ウイルスに感染した鶏の口腔スワブとクロアカスワブ中のウイルス排泄量は3株とも時間の経過と共に増加し、病原性が高い株ほど急速且つ大量である(図3)。
  5. 鶏伝播性は病原性やウイルス排泄量に相関する。また、ウイルス排泄量が感染必要量に達するまでの時間は病原性が高い株ほど短く、この時間がウイルスの伝播速度を規定すると考えられる。
成果の活用面・留意点 ウイルスの伝播性は、気温・湿度、鶏の飼育方法、飼育密度、感染羽数などによって大きく影響を受けるので、鶏舎内ではウイルスの病原性が必ずしも反映されない。特に、発生初期においては、死亡羽数が少なくても、高病原性鳥インフルエンザを疑い、病性鑑定を行う必要がある。
図表1 234566-1.png
図表2 234566-2.png
図表3 234566-3.png
カテゴリ くり

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