先進法人における外部参入者受け入れプロセスと運営改善

タイトル 先進法人における外部参入者受け入れプロセスと運営改善
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 2006~2010
研究担当者 仁平恒夫
発行年度 2010
要約 第三者継承に先進的に取り組む複数戸法人では、期間を2年以上とし幅広く研修生を受け入れている。研修中に出資金を積み立てるとともに、構成員間の平等性確保のため退職者農地の法人での計画的購入、構成員子弟も研修生としての従事・出資を進めている。
キーワード 複数戸法人、外部参入者、研修生、出資、構成員間の平等
背景・ねらい 水田地帯を中心に増加している複数戸法人では、構成員の高齢化に対応し、将来の後継者候補を確保するため、外部からの参入・継承(第三者継承)が重要となっており、積極的に研修生の受け入れを進めている。しかし、北海道の法人は、農地を所有する生産者が農家を単位として結合・設立され、農家単位の運営・継承が基本となっており、外部からの参入者への継承を進めるには、農地非所有者でも個人で運営に平等に参画できる方向へ運営改善が求められる。
そこで、第三者継承を進める先進2法人(表1)の分析から、非農家出身者を含む外部参入者の受け入れプロセスと法人の運営改善の特徴を提示する。
成果の内容・特徴
  1. A法人では1975年(現代表も1976年に研修生)から、B法人では1999年から研修生の受け入れを開始しており、期間を2年以上として農業人フェア等を通じて募集し、道外を含め幅広く受け入れ、研修生の中には非農家出身者も多い(表1)。
  2. 外部参入者の受け入れプロセスは図1の通りであり、研修中は多様な作業に従事させてOJTを通じた技術修得と法人運営への理解を深めさせ、法人側としても責任感や経営改善の意欲等の見極めを行っている。研修途中でも研修継続の意志等を相互に確認し、研修終了時に構成員となることに相互が同意した場合に出資を行うが、外部参入者の出資が容易となるよう、研修期間中に給与から積み立てを行わせている。
  3. 農家単位の運営・継承意識を弱め、外部参入の個人も平等に運営参画できるようにするため、構成員子弟も研修生としてスタートする仕組みとし、A法人で2009年までに1名、B法人も2010年に1名開始している(図1、表1)。また、構成員子弟も親世帯と別に個人出資を行っている。
  4. 農地所有の有無に関わらず法人運営に平等に参画できるよう、地代配当を低く抑えるとともに、法人退職者の農地を法人として一定期間借り入れた後、買い取りを行っている。その結果、法人所有農地が増加する傾向にあり、A法人では約50%を占め(図2)、B法人では約70%を占めている。
  5. 以上の受け入れプロセスでポイントとなるのは、研修中に出資用の積み立て、構成員子弟も研修生として従事・出資、退職者農地を一定期間借入後に法人が計画的購入、である。これにより、農地非所有者の外部参入者でも個人で加入し、運営に平等に参画できる組織への移行が可能となる(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 第三者継承に成功した法人は少なく、経営形態の異なる法人(畑作+畜産、水田)の分析結果である。
図表1 234651-1.png
図表2 234651-2.png
図表3 234651-3.png
図表4 234651-4.png
カテゴリ 経営管理 水田

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