タイトル |
トマト栽培管理の作業姿勢改善に有効な低段密植栽培のベッド高さ |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 |
2006~2010 |
研究担当者 |
長﨑裕司
伊吹俊彦
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発行年度 |
2010 |
要約 |
トマトの低段密植栽培で高さ0.4m程度の低いベッド仕様は、腰掛け台車を活用して定植や1段果房までの芽かきを行うことで、作業能率・姿勢の改善を図れるとともに、収穫および2段目以降の管理作業は負担の少ない立ち姿勢で行える。
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キーワード |
作業姿勢、低段密植栽培、トマト、軽作業化
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背景・ねらい |
慣行で行われているトマト長段栽培の作業において、芽かきや誘引などの管理作業の占める割合が高く、作業改善の観点からも低段密植栽培が注目されている。低段密植では長段の1.5~2倍の株数を定植することから、管理作業だけではなく定植作業の軽作業化も可能なベッドや誘引パイプの高さなどの仕様を検討する必要がある。 そこで、ベッド高さの異なる低段密植栽培における定植・管理・収穫作業の能率・姿勢を解析し、総合的に軽作業化に有効とみられる仕様を検討するとともに、作業者の体格に合わせた適正な仕様範囲を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- ベッド高さ0.4mでは、イチゴなどで広く用いられている0.7mの仕様に比べ、定植作業や1段果房直下の芽かき作業で負担の大きい中腰姿勢割合が高くなるものの、作業能率は同等である(表1、2)。
- 低い位置での作業改善には腰掛け台車の利用(図1)が有効であり、中腰やしゃがみ、片膝をついた状態などの姿勢が解消される一方で、作業能率は低下しない。
- 収穫作業では、高さ0.4mのベッドでも1段果房の着果高さは0.8m程度になり、立ち姿勢でもかがまずに作業が行える(図2)。
- 株間15cmの低段密植で、ベッド高さを0.4m、誘引線取付用パイプ高さを1.8mとすると、吊り下ろし作業をせずに真っ直ぐ誘引するだけで概ね3段までの果房がベッドから誘引線取付用パイプ間の範囲に収まる。
- 標準的な体格の女性について、本仕様の定植から収穫までの作業姿勢で早急に改善を要する作業姿勢は生じない(表2)。ただし、0.7mのベッド高さで3段果房位置での作業は、負担の大きい両腕を上げた状態での作業姿勢割合が多くなることから、この点からもベッド高さ0.4mが望ましい。
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成果の活用面・留意点 |
- 低段密植栽培導入を検討している農家等でベッド高さや誘引パイプの高さを決定する上で参考になる。
- 腰掛け台車については、走行方向横向きに座れる仕様または座面が回転する仕様で作業者の体格に合わせて座面高さを変えられるものが望ましい。
- 標準的な体格の男性(身長170cm程度)では、誘引パイプの高さを約20cm高く(約2m)しても作業姿勢面で問題はない。
- 作業姿勢は、特別な器具を用いずに簡便に全身の作業姿勢の評価が行えるOWAS法を用いている。姿勢記録は30秒間隔のスナップリーディングにより行っている。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
いちご
栽培技術
トマト
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