タイトル |
みかんの箱色と商品名に関するインターネット・ユーザーの印象 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 |
2006~2010 |
研究担当者 |
齋藤仁藏
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発行年度 |
2010 |
要約 |
インターネット・ユーザーは、暖色系のみかんの箱色に対して味やかおりに関する印象をもち、商品名に地域に由来する名称が含まれる場合には語意に合った印象をもつ点が特筆できる傾向である。また、この傾向は性別や年齢などの属性によらない全体的なものである。
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キーワード |
ウンシュウミカン、箱色、商品名、インターネット、コレスポンデンス分析
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背景・ねらい |
非破壊検査装置(光センサー)の普及に伴い、ウンシュウミカンでは品質による他のブランドとの差別化が困難になり、華やかな化粧箱やユニークな商品名でブランド化を図る産地が増加している。最初の購買に対するこれらの工夫の効果は不明であるが、満足した購入者がその箱のデザインや商品名を記憶に留め、繰り返し利用したり、他の消費者へ伝達(口コミ)することは期待できる。そこで、近年インターネット上で販売されるブランド果実が多く見られるようになってきたことを考慮し、インターネットユーザーを対象に消費者がみかんの容器(いわゆる化粧箱)や商品名に対してどのような印象を持っているか明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 分析対象は、「インターワイヤード(株)」に業務委託し2009年3月20日~22日の3日間にWebを介して得た14,732人からの有効回答である。本成果は、上記調査のうち、「みかんの箱(基調色に限定)及び商品名について、好ましいもの及びその印象」に関する回答をコレスポンデンス分析して得た結果に基づいている。なお、調査段階では実在するウンシュウミカンの商品名を利用したが、分析段階から実名の表記は控え、含まれているキーワードに着目する。
- みかんの箱色とその印象との関連は図1のようになり、色相を考慮してグループ分けをすれば、それぞれの箱色が対応する印象は、それぞれの色が本来もつ意味やイメージ(参考文献省略)と近似している。まず、黒、金、銀色の箱色は高級感や斬新さなどの印象、青、緑色の箱色は清涼感や新鮮さなどの印象に対応している。また、暖色系の黄、オレンジ、赤色の箱色は、あたたかさや懐かしさなどの印象の他に、味や香り、産地に関する印象にも対応している。ただし、黄色の箱色は、その位置関係や対応する印象を考慮すれば、青、緑色と同様の印象を与える可能性もある。
- みかんの商品名とその印象との関連は図2のようになり、語意が伝わりやすいキーワードとそうでないものが認められる。例えば、「地名や人名などの地域に由来する名称」を含む商品名[B][D][E][H][M]は図の中央下部に位置し、「伝統や歴史、文化」「産地の情景」などの印象に対応している。「女性に関する名称」「男性に関する名称」「花」「高貴さや高級感をもたせた名称」を含む商品名も、それぞれの商品名に含まれているキーワードの語意はモニターが受けた印象に近似している。また、「味や香り」を「数字」とともに示した[F]が「味の良さ」として直接的な印象を与えられている。一方、「外国語に由来するカタカナ表記(いわゆる横文字)」「夢に関する名称」を用いた商品名では、その語意が伝わりにくいと推定される。
- みかんの箱色及び商品名と印象との関連性は、性別、年齢階層別、地域別など様々な属性毎の分析でも同様の結果を示すことから、この傾向は属性に依存しない共通したものである。
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成果の活用面・留意点 |
- カンキツ産地のマーケター等は、この分析結果に基づいて開発するカンキツ商品のコンセプトに適合する箱の基調色と商品名に用いるキーワードを選択することができる。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
温州みかん
その他のかんきつ
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