養殖対象として有望なラオス在来コイ科魚類Hypsibarbus malcolmiの種苗生産および成長

タイトル 養殖対象として有望なラオス在来コイ科魚類Hypsibarbus malcolmiの種苗生産および成長
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2006~2010
研究担当者 森岡伸介
緒方悠香
佐野幸輔
Bounsong Vongvichith
枝 浩樹
黒倉 壽
Thongkhoun Khonglaliane
発行年度 2010
要約 Hypsibarbus malcolmiは、孵化後2日目(2日令)には親由来の栄養である卵黄の吸収完了と同時に、人為的に培養した小型動物プランクトン(淡水産ワムシBrachionus angularis)を摂餌し、体長10mm強となる孵化19日後には主な器官が完成し稚魚となる。共食いせず、活発に摂餌することから種苗生産期間の生残率も高く(>90%)、養殖対象種として有望である。
キーワード ラオス在来コイ科魚類、Hypsibarbus malcolmi、人工種苗生産、養殖候補種
背景・ねらい ラオスでは、近年の人口増加に伴う食料増産の必要性から魚類養殖を振興しているが、養殖生産量の大半(80%以上)をティラピア等の外来魚種に依存している。その結果、養殖生産量は増加しつつあるが、これら外来種の天然水域への侵入が進んでおり、その影響で減少が懸念される在来魚種の増養殖技術開発の必要性が増している。しかし同国では、在来魚種の増養殖については一部の種を除きほとんど行われていない。本研究の対象種は、溜池・湖沼等に広く分布する雑食性の在来コイ科魚類Hypsibarbus malcolmi(図1)で、これまで同国における一般的な食用魚種でありながら養殖対象とされていなかったが、本種の種苗生産試験を通じ、養殖種としての適性を検証し、成長および形態発育等を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 親魚への催熟ホルモン(LH-RH系Suprefact)の筋肉注射後の自然産卵により、メス親魚1尾(600g~1kg)あたり10万粒前後の多数の受精卵を得ることが可能である。
  2. 2日令に平均体長3.3mmで卵黄を完全に吸収し(図2、3)、その後速やかに摂餌を開始する。
  3. 現地での導入に成功している人工培養ワムシ(本プロジェクト研究で技術開発)を初期の餌料としたところ、活発な摂餌が確認される(3日令の摂餌個体率100%)。
  4. 体長10.4mmで全ての鰭形成が完了するとともに仔魚期から稚魚期に移行し(図4)、その間共食いすることなく、生残率は30日間で90%以上と高く初期減耗は非常に少ない。
  5. これらの特性は本種の養殖対象種としての優れた適性を示している。
成果の活用面・留意点
  1. 本種は孕卵数が極めて多く、少ない親魚から多くの種苗を生産することが可能である。
  2. 仔稚魚期に高い生残率が見込まれ、民間業者への技術の普及対象として有望である。
  3. 本研究で得られた形態データを用いることにより、域内に分布する多くのコイ科仔稚魚から本種を分類・識別することが可能である。
  4. 種苗出荷サイズに至るまでの飼育適性(餌料効率・疾病耐性等)や、その後の収獲・販売に至るまでの養殖条件下での成長については今後解明する必要がある。
  5. 本プロジェクトを通じ、これまでに本種を含む9種の在来魚種種苗生産技術が開発されたが、これら技術の民間業者への技術普及が今後必要となる。
図表1 234914-1.png
図表2 234914-2.png
図表3 234914-3.png
図表4 234914-4.png
カテゴリ 出荷調整

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