衛星データを用いたオブジェクト指向分類で農地の区画と栽培状況を把握

タイトル 衛星データを用いたオブジェクト指向分類で農地の区画と栽培状況を把握
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2008~2010
研究担当者 山本由紀代
平野 聡
内田 諭
Wahyunto
M. Zainal Abidin
発行年度 2010
要約 高解像度衛星画像にオブジェクト指向分類を適用して圃場の区画や作物の生育ムラ等を把握するための適切なパラメータ設定方法を考案した。本手法により、パラメータ未調整時に比べて分類精度が向上し、効率的な圃場区画図の作成や生育診断が行える。
キーワード オブジェクト指向分類、高解像度衛星、領域分割、プランテーション
背景・ねらい インドネシアでは多様な農業が営まれており、農地や栽培状況を的確に把握する手法として、衛星データを用いたリモートセンシングへの期待は大きい。オブジェクト指向分類は、均質な空間領域(オブジェクト)に分割した後、オブジェクトを単位として分類するため、従来の画素(ピクセル)単位の分類手法で問題となっていた誤分類画素の点在を解消し、目視判読に近い分類結果が得られる手法として注目されているが、領域分割のためのパラメータ設定やクラス特徴量の選択によって分類精度が大きく左右される。本研究では、オブジェクト指向分類に広く利用されているソフトウェアDefiniens Developer(DEFINIENS社)を用いて、インドネシアのサトウキビ・オイルパーム・パイナップル等を栽培するプランテーション地帯を撮影した高解像度衛星QuickBirdのパンシャープン画像から、1) 圃場区画、2) 作物の生育ムラ、3) 播種方法、を把握するための効果的なパラメータの設定方法を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 領域分割のパラメータには、オブジェクトのサイズを規定する“scale parameter”及びオブジェクトの均質性を形状情報で規定する“shape”と不定型さで規定する“compactness”があり、探索的な試行によって適切な値を設定する。形状情報を意味する“shape”は色情報(color)と、”compactness”は滑らかさ(smoothness)とそれぞれ相補的な関係にあり、“shape””compactness”の値を大きくすれば他方の値は自動的に低下して荷重が調整される(図1)。
  2. ここでは”shape””compactness”にそれぞれ0.1、0.5、0.9を与え、これらを組み合わせた9通りの中から最適な組み合わせを決定した後、”scale parameter”を調整する手順を提案する。
  3. 道路が区画境界となっている画像に対しては”shape”の荷重を強めるとともに”compactness”を小さくし、“scale parameter”をやや低くすることで道路の形状と圃場の直線性が反映され、生育ムラの判別を目的とする場合は、”shape””compactness”とも中庸の値を設定することで、不定型なパッチ形状を捉えることができる(図2)。播種方法の違いは畝の有無で判定できるため、”shape”を強調し”compactness”もやや大きくすることで、畝方向を表す縞模様のパターンを含むオブジェクトが生成する。
  4. 上記の手順で決定したパラメータによる領域分割結果に対して、スペクトル特徴量、テクスチャ特徴量、形状特徴量の組み合わせの中から最小クラス間距離が最大となる特徴量を用いて分類すると、パラメータを調整しなかった場合(マルチスペクトルデータ用デフォルト”shape”=0.1, ”compactness”=0.5を採用)に比べて分類精度が3.6~31.9ポイント向上する(表1)。
成果の活用面・留意点 オブジェクト指向分類は対象によって最適なオブジェクトの形状やサイズが異なるため、画像毎に領域分割のパラメータ設定が必要である。本提案手法により、効率的・効果的なパラメータ設定がなされて分類精度が向上し、圃場区画図の作成や植被の違いに基づく生育診断に活用できる。
図表1 234921-1.png
図表2 234921-2.png
図表3 234921-3.png
カテゴリ さとうきび パイナップル 播種 ブロッコリー リモートセンシング

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