フィリピンでの節水灌漑技術普及における情報ネットワークの役割

タイトル フィリピンでの節水灌漑技術普及における情報ネットワークの役割
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2006~2010
研究担当者 横山繁樹
Ma Victoria C. Rodriguez
安延久美
発行年度 2010
要約 フィリピンの深井戸灌漑水利組合を対象に、節水灌漑技術普及における情報ネットワークの役割を解明した。技術の早期採用者は、外部から技術情報を組合に伝える機能、組合内で情報を広める機能、外部に情報を発信する機能を役割分担をしている。
キーワード フィリピン、深井戸灌漑、節水灌漑技術、社会ネットワーク、技術普及
背景・ねらい 地下水を水源とする深井戸灌漑稲作では、コスト節減のために節水技術が求められている。AWD(Alternate Wetting and Drying)は間断灌漑法で常時湛水と比較して15~30%節水できるが、水管理労働の追加的投入、雑草繁茂やネズミの食害増加、灌漑のタイミングを誤ることによる減収リスクを伴うので、普及のためには正確な技術情報の提供・伝達が不可欠である。国際稲研究所等は、AWDのパイロット・プロジェクトを2002~03年にルソン島ターラック州の深井戸灌漑組合において実施したが、その後の普及は必ずしも進展していない。
本研究は、2006年9月~2007年2月にプロジェクト実施組合(全組合員35名)を対象に、普及制約要因として農家間の情報伝達に着目し、プロジェクト終了後にAWDに関する社会ネットワークがどう形成されたかを調査した。
成果の内容・特徴
  1. プロジェクト実施組合の農家はAWDのメリットについて概ね理解しているが、栽培上の留意点で農家間の情報伝達過程で誤解が生じた例もある。不完全な知識で技術を採用すれば減収になるばかりでなく、指導的農家や普及員等への不信をもたらしかねない。
  2. 本人は技術を正しく理解していても、目立つことを嫌ったり自分の勧めで採用した農家で問題が発生することを恐れて情報伝達に消極的な農家もおり、プロジェクト終了後に農家から農家へ自生的に情報ネットワークが拡大して技術が普及することは期待できない。
  3. AWDに関するネットワークは10名の早期採用者を一つのアクターとしてまとめた場合、典型的な星形ネットワークとなる。すなわち、早期採用者が中心に位置しそれらと直接つながる周辺農家には影響を及ぼすが、周辺農家同士また周辺農家から他の農家へのネットワークの広がりはきわめて限定的で情報は広まらない(図1)。
  4. 早期採用者はネットワークでの位置と役割に応じて以下の3類型に分けられる。「ゲートキーパー」は普及員や研究者等外部者から技術情報をコミュニティ内部に伝える。「調整者」はコミュニティ内で密なネットワークを形成して、コミュニティ成員に対して広く影響を及ぼす。「送信者」はコミュニティから外部の農家へ情報を発信する(表1)。技術採用後のアフターケア(追加情報入手、改善点のフィードバック等)のためには「ゲートキーパー」へ、迅速・広範な情報伝達のためには「調整者」「送信者」への支援が有効である。
成果の活用面・留意点
  1. 農家同士の情報伝達は迅速な反面誤解を生むリスクがある。採用者と未採用であるが技術に関心を持つ農家を組織化し外部専門家が支援することで、正確で迅速な情報提供が期待される。
  2. 農村社会のネットワーク構造は歴史・文化的背景によって異なるが、本研究で用いた分析手法は国や地域を問わず普遍的に適用できる。
図表1 234924-1.png
図表2 234924-2.png
カテゴリ 病害虫 コスト 雑草 水管理

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