風蓮湖ニシンの放流効果

タイトル 風蓮湖ニシンの放流効果
担当機関 地方独立行政法人北海道立総合研究機構 釧路水産試験場
研究期間 2000
研究担当者 堀井貴司
発行年度 2010
要約 風蓮湖ニシン人工種苗の放流効果は、人工種苗の漁獲量と生産額、混入率、及び、回収率で示され、平成9年以降、調査が続けられている。当初、伸び悩んでいた放流効果は、平成17年以降上昇傾向を示し、平成20年度(5月~翌年4月)には、漁獲量16.7トン、生産額660万円、混入率10%、平成16、17、18、19年放流群の回収率はそれぞれ、4.6、5.4、8.1、4.5%(平成16年放流群以外は暫定値)と推定された。
背景・ねらい 風蓮湖ニシンの漁獲量は、平成8~9年の700トンをピークに急減し、近年は40~140トンの範囲で変動しつつ推移している。別海町ニシン種苗生産センターは、平成12年以降、毎年50~350万尾の人工種苗を放流してきた。当初は低かった放流効果も平成17年放流群以降上昇傾向を示し、平成18~20年には混入率が10~15%に及んだ。しかし、漁獲量の低迷は続いており、放流効果の向上が求められている。
成果の内容・特徴
  1. 風蓮湖ニシンの主要分布域が風蓮湖、及び、根室湾であることを明らかにして、放流効果を把握するための調査水域を設定し、放流効果算出方法を確立した。
  2. 人工種苗の漁獲量、生産額、及び、混入率は、平成10~16年度まで低迷していたが、平成17年度以降増加傾向を示し(図1、2)、平成20年度には、16.7トン、660万円、及び、10%となった。回収率は、平成9~15年放流群まで低迷していたが、平成16年放流群以降上昇傾向を示し(図3)、平成16、17、18、19年放流群の回収率は、4.6、5.4、8.1、4.5%(平成16年放流群以外は暫定値)と推定された。
  3. これまでの調査の結果、卵・仔稚魚の分布傾向が明らかになった(図4)。
走古丹以奥の北西部湖盆のアマモ場のほとんどが産卵場となりうる(ただし、湖奥(赤線内)には、産卵期(3~4月)にアマモは繁茂していない)。孵化時期は主に5月前半と考えられ、前期仔魚は湖奥(赤線内)も含めた北西部湖盆に広く分布する。その後、20~60mmの仔稚魚は湖奥(赤線内)に偏在し、6月下旬以降、稚魚は北西部湖盆全域に分布するようになり、7~8月上旬に降海すると推定されている。
成果の活用面・留意点
  1. 放流効果を示す人工種苗の漁獲量と生産額、混入率、及び、回収率が、毎年、明らかにされている。これらの数値は、生産及び放流技術の改良の指標の一つとなっている。
  2. 生産技術の向上によって300万尾超の40mm人工種苗の生産が可能となったが、60mm台まで育てるための中間育成施設(放流場所に設置)に収容しきれない40mm種苗は、粗放的に放流されている。
しかし、無標識であるために結果が把握できないことに加え、放流効果に否定的なデータが示されている(鈴木・福永2008)。また、生産調整も行われている。従って、費用をかけずにセンターの種苗生産能力を最大限に活かすためには、中間育成を経ない40mm種苗の放流技術開発が必要となっている。
図表1 234930-1.png
図表2 234930-2.png
図表3 234930-3.png
図表4 234930-4.png
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