タイトル |
小型多年生ほふく植物ムラサキサギゴケによる強害雑草の抑制 |
担当機関 |
農業環境技術研究所 |
研究期間 |
1993~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
農耕地周辺に生育する小型の多年生ほふく植物,ムラサキサギゴケ,オオジシバリ,ヤブヘビイチゴは強害雑草の定着・成長を抑制する。とくに密に生育するムラサキサギゴケの抑制効果が高い。
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背景・ねらい |
畦畔や農道などの植生管理においては,除草剤を使用せずに草刈り等による管理が望ましいか,メヒシバなど防除に手間がかかる強害雑草が侵入するおそれもあり,その抑制が重要である。農耕地周辺にはムラサキサギゴケ,オオジシバリなどの小型の多年生ほふく植物が優占し,上記の強害雑草の生育が見られない場所もある。そのため,これらの植物の生態的特性を解明するとともに,農耕地周辺地の植生を管理する植物としての活用を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- ムラサキサギゴケ,オオジシバリ,ヤブヘビイチゴはいずれも多年生ほふく型であり,最大草高はいずれの草種とも低く,頻繁に草刈りを行う必要がなく,農耕地周辺の植生管理植物に適している(表1)。なかでも,ムラサキサギゴケは地表面を密に被覆する形態特性をもっている。
- これらの小型植物が地表面を被覆した場所における雑草の定着密度ならびに雑草量は,これらの小型植物が生育しない耕作跡地(対照区)よりも明らかに少なく,小型植物が雑草の定着ならびに成長を抑制する効果が認められる(表2,図1)。
- ムラサキサギゴケなどの小型植物が生育していない場所における出現雑草総数は31種で,主要草種の優占度はメヒシバ69%,イヌビエ6%,カヤツリグサ3%であり,推定現存量の約80%は一年生強害雑草である。
- 供試小型植物のほふく茎が一様に地表面を覆った時点の緑葉部分の割合と,その後に発生した雑草の地上部乾重との関には負の相関が認められる。とくにムラサキサギゴケは緑葉部割合が他の2草種より高く,表面を密に被覆する生育特性があり,強害雑草の侵入・出芽抑制効果が高い(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 省力的に畦畔や農道などの農耕地周辺を管理するための植物として有望である。
- ムラサキサギゴケの生育を促進し繁茂させるためには,低刈りで刈取り回数を増やして大型雑草を抑える。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
いちご
雑草
植生管理
除草剤
防除
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