瀬戸内海のガラモ場における炭素収支の推定

タイトル 瀬戸内海のガラモ場における炭素収支の推定
担当機関 (独)水産総合研究センター 瀬戸内海区水産研究所
研究期間 2006~2009
研究担当者 樽谷賢治
吉田吾郎
橋本俊也
村瀬 昇
発行年度 2010
要約 広島湾のガラモ場における炭素循環の諸過程を定量的に評価し、枯死後の藻体の分解過程を含む炭素収支を推定した。その結果、広島湾南部海域に存在するガラモ場において、年平均で約190トンの炭素が海藻由来の未分解物として残存し、海底へ堆積する可能性が示唆された。
背景・ねらい 藻場を構成する海藻・海草類は、地球温暖化の原因とされている二酸化炭素の吸収・固定に寄与していることから、炭素のシンクとしての機能が注目されている。しかしながら、藻・草体の流出、枯死後の分解・堆積など、藻場における炭素循環に係る諸過程については未解明の部分が多い。
本研究では、健全な藻場が今なお多数維持されている瀬戸内海をモデル海域とし、瀬戸内海のガラモ場で優占する多年生種のノコギリモクを対象に,炭素循環過程の実態を把握するための現場調査や室内・野外実験を実施した。また、得られた結果を基にモデル解析を行うことによって、枯死後の藻体の分解を含む瀬戸内海(広島湾)のガラモ場における炭素収支を推定した。
成果の内容・特徴 野外調査で採集したノコギリモクの先端葉部を複数段階の光量子量条件下で培養し、現場水温条件下における光合成速度を周年にわたり測定することによって、ノコギリモクの光合成速度と光量子量および水温との関係を定量的に把握した(図1)。また、ノコギリモクの主枝および葉を用いた室内での分解実験では、実験開始60日後においても、主枝で実験開始時の藻体中炭素量の47%、葉で37%が分解されずに残存することを確認した(図2)。メッシュバッグを用いた野外での分解実験においても、約1年後に重量で実験開始時の26%、炭素量で17%が未分解物として残存した(図3)。これらの実験結果を基に、枯死後の藻体の分解を含むノコギリモクの現存量の変化をモデル化し、既往の低次生態系モデルに組み込むことによって、藻場生態系における炭素循環モデルを構築した。本モデルを広島湾南部海域に適用し、同海域のガラモ場における炭素収支を推定したところ、1年間に約190トンの炭素が海藻由来の未分解物として残存するものと見積もられた(図4)。
成果の活用面・留意点 本研究の結果から、ガラモ場が炭素のシンクとして機能している可能性が示唆された。しかしながら、海藻藻場を炭素の吸収源として位置づけるためには、今後、より長期にわたる分解過程の実態を把握するとともに、現場海域における未分解物の検出や堆積作用の有無の確認などが必要とされる。
図表1 235125-1.png
図表2 235125-2.png
図表3 235125-3.png
図表4 235125-4.png
カテゴリ 炭素循環

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