ナミハタ産卵集群の由来推定と保護のとりくみ

タイトル ナミハタ産卵集群の由来推定と保護のとりくみ
担当機関 (独)水産総合研究センター 西海区水産研究所
研究期間 2008
研究担当者 名波 敦
発行年度 2010
要約 沿岸性ハタ科魚類の一種であるナミハタは、八重山地方における重要な水産資源であり、産卵集群を形成する。産卵集群への漁獲圧の影響を検討するために、主要な産卵場に形成される産卵集群の由来を標識放流調査で調べたところ、4~6km離れた海域から移動してくることがわかった。産卵期間限定の禁漁区を設定したところ、ナミハタの密度は禁漁前の年と比較して20倍に達した場所があった。
背景・ねらい 沿岸性ハタ科魚類の一種であるナミハタは、八重山地方における重要な水産資源である。ナミハタは、一年のある一定の期間だけ特定の場所に集まって産卵することが知られており、そのような集団は産卵集群と呼ばれる。ナミハタは、近年漁獲量が減少しており、その原因のひとつとして、産卵集群への集中的な漁獲が考えられている。産卵集群は、特定の月齢に合わせて形成されるため、漁業者は経験に基づいて産卵集群の形成時期を予測して集中的に漁獲していた。しかし、このような産卵集群の漁獲により、資源への影響が懸念されている。そこで、資源管理に資する産卵集群保護を検討するために、野外調査を実施した。
成果の内容・特徴
  1. 非産卵期に、石西礁湖の複数の地点でナミハタ成魚に標識放流を行なった結果(2009年1月~4月:93個体、2009年11月~2010年4月:532個体)、主要な産卵場であるヨナラ水道で産卵期(5月)に再捕報告があった(図1)。2009年5月の再捕個体は約4km、2010年5月の再捕個体は約6km離れた海域から産卵場へ移動してきていた(図2)。このことから判断し、産卵集群の漁獲は、産卵場から数kmの圏内に生息するナミハタを短期間で漁獲することに相当すると示唆された。
  2. ヨナラ水道に高密度な産卵集群が形成されることを確認した上で、産卵集群が産卵場から数km離れた海域から由来することも加味し、八重山漁業協同組合が中心となり、ヨナラ水道の一部に1km×3.6kmの産卵期限定(5日間)の禁漁区を試験的に設置した。産卵時期に野外調査を行なった結果(図3)、禁漁区設置以前と比較して、ナミハタの密度は最も多い場所で約20倍高かった。
成果の活用面・留意点 成果の活用面:産卵集群を形成する水産資源について、産卵集群を漁獲する影響や産卵場保護の必要性を検討できる。
留意点:本調査は、沖縄県水産海洋研究センターと共同で実施している。
図表1 235127-1.png
図表2 235127-2.png
図表3 235127-3.png
カテゴリ

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる