高水温と食害に起因する磯焼け対策手法としての春藻場造成法を開発

タイトル 高水温と食害に起因する磯焼け対策手法としての春藻場造成法を開発
担当機関 (独)水産総合研究センター 西海区水産研究所
研究期間 2007~2009
研究担当者 吉村 拓
吉田吾郎
中山哲厳
秋本恒基
大津安夫
西村大介
荒木希世
徳永成光
荒武久道
中尾雄作
宮本勇樹
寺田竜太
山口敦子
中嶋 泰
発行年度 2010
要約 九州沿岸における藻場の実態や海藻の種別特性、厳しい環境で藻場が維持される仕組み等の解明に基づき、漁業者の目的とする磯根資源への機能と周辺環境の現状を考慮した現実的な藻場造成の方向や手法を藻場評価表として整理した。この評価表の実践事例として、在来海藻と南方系海藻を用いた春藻場造成試験に成功するとともに、造成された藻場がウニ身入り回復に効果を発揮することを実証した。
背景・ねらい 近年、九州沿岸域の藻場では、磯焼けの拡大や構成種の変化、植食魚による食害など多様な現象が生じている。一方、藻場に依存するアワビなどの磯根資源は著しく減少したまま回復の兆しがない。藻場の回復が急務だが、高水温や植食魚の採食圧の影響などに対する有効策は見出されておらず、磯焼け打開策を見いだせない地先が極めて多い。
成果の内容・特徴
  • 現地調査と新たに開発した輝度補正による画像解析に基づき、九州沿岸域での藻場の衰退や在来海藻種の減少、南方系ホンダワラ類の増加・北上傾向を把握した(図1)。
  • 南方系ホンダワラ類の分類学的検討を進めるとともに、その磯根資源に対する餌料価値や索餌場機能が温帯性種に劣らないことを明らかにした。
  • 漁業者が求める磯根資源への貢献度や対象水域の環境条件から、造成可能な藻場のタイプを決定し、そのための適種や適地の選定などを示す藻場評価表を整理した。
  • 藻場景観の持続期間が短い春藻場について、室内外での実験・調査からその構成種の生態特性(図2)と春藻場の維持機構(図3)を解明し、それらを利用した造成法(図4)を提示し、その実証試験に成功した(図4)。さらに、造成された春藻場がウニの身入りを回復させることも確認できた。
成果の活用面・留意点
  • 南方系ホンダワラ類がアワビ類やウニ類に対して在来海藻に劣らない餌料価値を持つことが示された。ウニ類の索餌場やアオリイカの産卵場として機能することから、春藻場は漁業に貢献する藻場と言える。
  • 春藻場造成法は、水温と植食動物(魚類を含む)の採食圧が高い水域における磯焼け対策として有望であり、今回成功した鹿児島県笠沙町や長崎県大瀬戸町・三重町以外での取り組み事例を増やすべきである。
  • 機能がより高いと考えられる四季藻場の回復策については、今後の検討課題である。
図表1 235131-1.png
図表2 235131-2.png
図表3 235131-3.png
図表4 235131-4.png
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