タイトル | 福岡湾における覆砂による底質改善効果 |
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担当機関 | 福岡県水産海洋技術センター |
研究期間 | 2008~2009 |
研究担当者 |
江藤拓也 江崎恭志 |
発行年度 | 2010 |
要約 | 福岡湾で覆砂を行うと、底質環境が改善されるとともに餌料となる底生生物が増加し、その結果、水産有用生物の良好な育成場または好漁場を形成することが確認された。 |
背景・ねらい | 福岡湾はクルマエビ、カレイ類等水産有用生物の育成場かつ、優良漁場でもあり重要な海域となっている。当該湾は近年都市化により底質環境が悪化し、底生動物の多様性が低くなっている。さらに夏季の高水温期には、底層で貧酸素水塊が形成され、クルマエビなどの漁獲量減少要因の1つと考えられており、底質改善は急務である。 福岡県では、福岡湾の底質環境を改善するために、5年前から覆砂事業を実施している。そこで、今回は湾内の4カ所で行われた覆砂事業うち、施工後の年数が経過している福岡市東区西戸崎地先の覆砂域(水深5m)を対象に覆砂の効果を明らかにし、今後の事業をより効率的に行うための基礎資料とすることを目的とした(図1)。 |
成果の内容・特徴 | 福岡湾における覆砂による底質改善効果を明らかにするとともに、漁業との関連について検討した。 底質の調査結果をみると、強熱減量、全硫化物量ともに覆砂区は対照区の39%、25%と低い値であった(表1)。底生生物は、ほぼ周年、対照区に比べ、覆砂区で種類数、個体数が多く、多様度指数も高い値を示した(表2)。 水産有用生物については、小型底びき網で試験操業を行った結果、覆砂区で高価格魚のクルマエビやマコガレイの幼魚等が多く漁獲された。刺網の試験操業では、覆砂区でマコカレイの成魚等が多く漁獲され、この結果を対照区と比較すると、覆砂区は漁獲重量で2.3倍、推定金額で3.5倍程度上回った(図2)。 |
成果の活用面・留意点 | 筑前海漁業者に対し、福岡湾の覆砂による底質改善効果の説明や放流事業向上のための資料とする。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
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