高頻度観測衛星データ(MODIS)を用いて作物生育の時空間変化を評価する

タイトル 高頻度観測衛星データ(MODIS)を用いて作物生育の時空間変化を評価する
担当機関 (独)農業環境技術研究所
研究期間
研究担当者 坂本利弘
発行年度 2011
要約 高頻度観測衛星センサー(MODIS)の時系列データを用いて、作物の生育ステージや光合成量の時間変化を精度良く広域的に推定するリモートセンシング技術を開発し、アメリカコーンベルトにおけるトウモロコシの生育評価を行いました。
背景・ねらい 作物の栽培時期・生育進度・生長量は、生育期間中の気温や降水量に応じて年々変動し、収穫時期や収量に大きく影響します。しかし、これらの生育情報を広域的に現地調査することは容易でなく、衛星データを用いた広域把握手法の開発が求められています。そこで、高頻度観測衛星データ(MODIS)を用いることにより、作物生育ステージと光合成量の時間変化を精度よく評価する新たなリモートセンシング解析手法を開発しました。
成果の内容・特徴 高頻度観測衛星データ(MODIS)は、その空間解像度は最大250mと低いものの、同じ地点をほぼ毎日観測することができます。そこで、作物の活性状態を示す植生指数(WDRVI)の時系列変化パターンの形状に着目し、雲被覆による観測データ劣化の影響を回避して、トウモロコシの主要な生育ステージ(2~3葉期、絹糸抽出期、黄熟期、成熟期)の発現日を2.4~7.4日の誤差で推定することのできる「Shape model fitting法」を新たに開発しました(図1)。2001~2008年を対象に推定された生育ステージは、アメリカ・ネブラスカ州の試験圃場データ(図2)やアメリカ農務省発表の統計データと良く一致していました。この方法によって、アイオワ州・イリノイ州・インディアナ州におけるトウモロコシの生育ステージの年次・空間変動の実態を明らかにしました(図3)。また、「Shape model fitting法」で推定された絹糸抽出期を基準に、光合成量の推定モデルを栄養生長期と生殖生長期に分けて校正することによって、MODISの植生指数と気象再解析データ(NLDAS-2)における短波放射との積から、トウモロコシの光合成量の日変化を推定することのできる「作物光合成の簡易推定法」を開発しました。推定結果は、アメリカ・ネブラスカ州にある試験圃場のフラックス観測データから推定された光合成量とも良く一致していました(図4)。これらの手法は、同地域の大豆にも応用可能であることが確認されており、世界の作柄情報の収集および収量予測に活用されることが期待されています。
成果の活用面・留意点 本研究は、日本学術振興会海外特別研究員制度「温暖化リスク評価に向けた時系列衛星データ解析による作物生育の時空間分布特性の評価」における、ネブラスカ州立大学 (UNL)との共同研究による成果です。
図表1 235278-1.jpg
図表2 235278-2.jpg
図表3 235278-3.jpg
図表4 235278-4.jpg
研究内容 http://www.niaes.affrc.go.jp/sinfo/result/result28/result28_46.html
カテゴリ 大豆 とうもろこし リモートセンシング

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