アフリカ内陸低湿地における水田整備及び栽培技術のマニュアル

タイトル アフリカ内陸低湿地における水田整備及び栽培技術のマニュアル
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2008~2011
研究担当者 藤本直也
大須賀公郎
成岡道男
森下賢己
廣瀬千佳子
河野尚由
早田茂一
冨久尾歩
山中勇
内村求
発行年度 2011
要約 食料不足が深刻なアフリカで、圃場湛水のための畦畔を備え、均平•代掻・苗移植等の作業で特徴付けられる「アジア型水田稲作」の有効性を実証し、計画から維持管理、施設の補修までの一連の整備技術及び栽培手法を分かりやすいマニュアルにまとめた。
キーワード アフリカ、水田、圃場整備、稲作栽培、CARD
背景・ねらい アフリカでは、稲は伝統的に畦畔のない農地で散撒栽培されている。サワ(Sawah System)と呼ばれる稲作技術に代表されるアジア型水田稲作(圃場湛水のための畦畔を備え、毎年の均平・代掻作業、移植栽培、農器具を使った除草等を特徴とする)の内陸低湿地での有効性は徐々に認識されつつある。西アフリカを代表してガーナ国において、東アフリカを代表してエチオピア国において行った圃場での有効性検証のための実証調査を通じ、この技術をマニュアルにまとめた。ガーナ国アシャンテ州アファリ圃場では、伝統的稲作の収量2.0ton/haに対し、2011年にアジア型水田稲作で4.2ton/haを達成した。マニュアルには図版を多用し、普及に適したものとしており有用性が高い。今後、アジア型水田稲作に取り組むアフリカ諸国、特に現在天水に依存している低湿地水田(CARDによれば現在の面積は約450万ha)での活用が期待される。
成果の内容・特徴
  1. アフリカにおける稲作の発展のためには、アジア型水田稲作は有効な技術である。ただし、用水環境、品種、栽培技術の三者が総合的に整備される必要があることから、水利条件の異なる複数の実証圃場を選定し技術の実証を行った。実証した技術の内容は、圃場選定の考え方、受益農家の選定と組織化、耕耘機(又は役牛)の適切な利用方法、小規模取水施設、用水路・排水路や畦畔の設置、圃場均平・代掻き(図1参照)、移植(図2参照)、適切な除草・施肥管理、収穫後の管理(ポスト・ハーベスティング)等である。
  2. これらの水田整備技術、稲作栽培技術を実証調査の結果を反映しマニュアルとしてまとめた。マニュアルは、(1)前書き、(2)圃場の選定、(3)農民組織、(4)圃場整備、(5)稲栽培、(6)耕運機の利用、(7)添付資料の7章からなっている(表1参照)。
  3. 今までアフリカにおける水田の圃場整備のマニュアルはなかった。地形・水資源の条件によって異なる圃場整備を的確に行うため、水資源量、地形の傾きによって、(a)堰・水路型、(b)ウォーター・ハーベスティング型、(c)用排分離型に3分類するなどの計画技術や、完成後の施設の維持管理・補修技術を盛り込む等、計画から維持補修までの一連の技術が一冊にまとめられている。また、作業の流れ図(図3参照)を使うなど図版を多用しているので、普及員等は、アジア型水田の開発(1年目)と水田稲作(2年目以降)を容易に理解できる。
成果の活用面・留意点
  1. ガーナ国アシャンテ州では、実証調査圃場周辺農家が、既にアジア型水田稲作を実践している。
  2. 本マニュアルはカラー印刷とし、普及員用として英語で作成した。今後、JIRCASホームページ(http://www.jircas.affrc.go.jp/index.html)に掲載するとともに、CARD加盟諸国等の政府機関を通じて配布する。
  3. 機械修理技術の程度に応じて、耕耘機等の基幹農機導入時期を見極める必要がある。
図表1 235285-1.jpg
図表2 235285-2.jpg
図表3 235285-3.gif
図表4 235285-4.gif
研究内容 http://www.jircas.affrc.go.jp/kankoubutsu/seika/seika2011/2011_04.html
カテゴリ 病害虫 カラー 栽培技術 除草 水田 施肥 品種

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