タイトル |
サブサハラアフリカの水田土壌肥沃度向上に資する在来有機物資源 |
担当機関 |
(独)国際農林水産業研究センター |
研究期間 |
2009~2011 |
研究担当者 |
飛田哲
Roland Issaka
Moro Buri
福田モンラウィー
中村智史
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発行年度 |
2011 |
要約 |
サブサハラアフリカの稲作において、在来有機物資源を活用した土壌肥沃度改良技術を提案するため、ガーナ国を対象としてまずこれらの賦存量を明らかにする。ガーナにおける農業活動由来の在来有機資源の賦存量は、植物性・動物性合わせて窒素、リン酸、カリの肥料換算でそれぞれ年間数万トンあると見積もられた。これらの有機物資源のガーナ国内分布は、種類により顕著な地域特性を示した。
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キーワード |
アフリカ、水田、土壌肥沃度、有機物資源、CARD
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背景・ねらい |
サブサハラアフリカ地域では、元来土壌の肥沃度が低く、農業生産性が低迷している要因の一つとなっている一方、化学肥料は流通量が少なく高価であるため、小農にとって十分量を入手し利用するのは極めて困難な状況である。よって現地で安価に入手できる資源を用いて土壌肥沃度を改善し、農業の生産性を高めることが重要である。そこで、サブサハラアフリカ地域の稲作推進とCARD目標に貢献するため、在来有機物資源を活用して水田土壌肥沃度を向上させる技術を提案する。本研究では、西アフリカ、ガーナ国における各種在来有機物資源の賦存量、肥料成分量、およびその分布を調査する。
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成果の内容・特徴 |
- ガーナ国の稲作に利用可能と考えられる農業活動由来の在来有機物資源として、各種家畜の糞尿、および作物残渣である稲わらや籾殻などが挙げられる。
- 稲わらや籾殻などの作物残渣はノーザン州、ボルタ州、アッパーイースト州、ウエスタン州、イースタン州など低平で稲作が盛んな地域に多い(図1)。
- ガーナ国内の稲作で産出される稲わらや籾殻等の残渣は年間で430,000トンであり、それらが含有する窒素・リン酸・カリ(N・P・K)三要素は、肥料換算してそれぞれ2,530(N)、990(P2O5)、5,460(K2O)トンと見積もられる(表1)。
- ガーナ国内における各種家畜の糞尿賦存量は牛由来が最も多く、次いで山羊由来の糞尿が多い。またそれぞれ地域性が認められ、牛および豚の糞尿はノーザン州、アッパーイースト州、アッパーウエスト州の北部地域に多く、鶏糞はアシャンティ州、大アクラ州などの大都市近郊に多い(図2)。
- ガーナ国で生産される家畜糞尿を肥料換算すると、全畜種の合計で80,500トンのN、44,500トンのP2O5、および59,200トンのK2Oに相当する。なお、リンはどの畜種においても主に糞に含まれている(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 統計はガーナ国農業省が公表している2007年の結果を用いた。また各資源中の肥料成分組成は、過去の文献に基づいている。
- 在来の有機物資源の賦存量は地域性を有するため、利活用にあたっては地域で最適な資源を選択する。たとえば稲作の最も盛んなノーザン州において、水田に施用する肥料の推奨量のうち、窒素とリンの約2割、カリのほとんどに相当する量が稲残渣によって賄える。また家畜由来の有機物資源量の5分の1を肥料として利活用すれば、この州の水田への推奨施肥量の全量を賄うことができる。
- 有機物資源を効果的かつ持続的に施用するためには、堆肥化等の加工処理技術の開発が必要である。
- 有機物資源には、管理が比較的困難な放牧家畜の糞尿などの資源も含まれ、その活用には収集法および施用場所への移動法などの検討が必要である。
- ガーナ国内には調査した資源以外にも、人糞尿・オガクズ・ヤシ殻等の有用な有機物資源が確認されており、賦存量や利用方法の検討が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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研究内容 |
http://www.jircas.affrc.go.jp/kankoubutsu/seika/seika2011/2011_05.html
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カテゴリ |
肥料
加工
水田
施肥
鶏
豚
山羊
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