タイトル |
熱帯汽水域の最重要養殖魚チャイロマルハタ幼魚の資源評価および漁獲管理 |
担当機関 |
(独)国際農林水産業研究センター |
研究期間 |
2006~2010 |
研究担当者 |
山本敏博
森岡伸介
花村幸生
Alias bin Man
Chee Phaik Ean
Ryon Siow
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発行年度 |
2011 |
要約 |
熱帯において最重要養殖魚のチャイロマルハタは、汽水域に生息する幼魚を種苗として漁獲している。漁獲実態および生物学的解析により同魚の現状は乱獲傾向にあること、漁獲努力量を減らすことで資源管理効果を飛躍的に高めることが明らかとなった。
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キーワード |
熱帯汽水域、チャイロマルハタ、漁獲実態、資源管理
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背景・ねらい |
マレー半島西海域における重要魚種の資源評価を行い、資源の状態を明らかにする。それらの知見を基に現地の実状にあわせた資源管理モデルを構築し、マレーシア行政部局へ持続可能な資源管理に向けた提案を行う。
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成果の内容・特徴 |
- 2007年1月から2010年3月までマレーシアムルボックのマングローブ汽水域でハタ類幼魚の漁獲実態を調査した結果、通年にわたりチャイロマルハタ(Epinephelus coioides:図1)が優占的に出現する(図2)。
- チャイロマルハタ幼魚の耳石の日齢解析から、産卵期は通年に渡り、海で生まれた稚魚は2月齢からマングローブ汽水域へ加入し3~5ヵ月間留まり、7月齢までには沿岸域へ移出することが明らかになる。
- マングローブ汽水域でのチャイロマルハタ幼魚の日齢と全長の関係は以下の単回帰式で表される。
成長式:全長=0.91×日齢+15.0(R2=0.77)(図3)。 - 漁獲実態調査および生物学的情報を基に資源評価を実施した結果、マングローブ汽水域から沿岸域へ移出する4月齢魚以上の漁獲係数(漁獲を死亡原因とした資源量の減少率の大きさを表す係数)が2008年9月以降急激に増大し、同汽水域でチャイロマルハタ幼魚は乱獲傾向にあると判断できる(図4)。一方、漁獲努力量を削減することにより資源の回復が期待できる(図5)。
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成果の活用面・留意点 |
- マングローブ汽水域がチャイロマルハタ幼魚にとって育成場として重要であることを資源の量的な把握により初めて明らかにした。
- 漁獲係数の減少率が大きいほど二次関数的に資源の回復効果が期待できる。チャイロマルハタの資源管理手法として禁漁が最も有効で、現状に比して最大約4倍の幼魚が沿岸域に供給され、禁漁時の移出資源量は毎月約2万尾と試算できる。
- マレーシアの資源管理の基礎的情報として用いられることが期待される。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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研究内容 |
http://www.jircas.affrc.go.jp/kankoubutsu/seika/seika2011/2011_18.html
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カテゴリ |
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