マリ、ニジェールにおける自然資源保全管理のためのガイドラインの整備

タイトル マリ、ニジェールにおける自然資源保全管理のためのガイドラインの整備
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2008~2012
研究担当者 東槇 健
竹中浩一
山田雅一
竹内俊英
廣瀬千佳子
小林 勤
宮崎 良
清水直也
保久丈太郎
鈴木香奈子
篠原統吾
発行年度 2012
要約 マリ、ニジェールの自然資源が劣化しつつある地域において、土地や植生を保全し農業の持続性を図るため、住民組織や地方行政が一体となって行う自然資源保全管理手法をガイドラインと技術マニュアルに取りまとめている。これらは地方行政官が村落住民と共に保全活動を行う際の手引き書として活用される。
キーワード 西アフリカ、自然資源保全、土地劣化、土壌保全、植生改善、問いかけ法
背景・ねらい 西アフリカ半乾燥地帯では、収奪的農業、粗放牧畜、過剰な薪炭材採取等が農業の基盤となる土地の劣化をもたらしている。この対策としては、土壌や植生など自然資源を保全する技術の導入と同時に村落住民の保全対策への関わり方が重要となる。村落住民は、問題点の存在を感じていても放置することが多く保全対策の実施においては制約事項となる。また、自然資源管理を住民のみで行うことは難しく、地域の支援体制確立が不可欠である。このため、農業を持続的に営むための自然資源保全を行う手法として、村土地管理組織と地方行政機関との連携強化を軸とし、適切な保全技術等を村落活動計画として実施する手法を取りまとめ、ガイドラインおよび技術マニュアルとして提示する。
成果の内容・特徴
  1. マリ4村、ニジェール2村の村落住民への実証調査結果から、農業を取り巻く自然資源に関する課題と、住民のみによる対策が難しく地方行政等の支援が必要なことを明確にしている。
  2. 村落では土壌侵食、森林植生の衰退、肥沃度の低下などの存在が住民に認識されており、土壌侵食対策、森林保全および農地肥沃度改善を組織的に行うことを住民に提案し、村落活動計画として住民と連携して立案・実施する手法をガイドラインおよび技術マニュアルに取りまとめている。
  3. 例えば、村落に現存する課題を引き出し、住民の理解を得ながら問題解決を早めるための手法として「問いかけ法」を考案している(図1)。これにより住民がおぼろげながら感じていた問題点等を自ら特定・解決することが可能となり、かつ、地方行政官等がファシリテーターとしてこの手法を採用することにより、多くの住民を村落の問題解決に関与させることが可能となる。
  4. また、ニジェールにおける農事法典(1993)に基づく土地管理制度(図2)に着目し、自然資源の保全活動を担う村土地管理組織の設立・運営・資金調達・実施能力の向上手法とともに、関係する組織との連携強化手法を考案している。これにより自然資源保全活動において直面する各課題の解決能力を向上させることが可能となる。
成果の活用面・留意点
  1. ガイドラインは、農業、森林・環境、土木等の地方行政官が村落住民と共に保全活動を行う際の手順や事例をとりまとめており、実情に沿った内容として活用できる。また、ニジェール農業大臣、マリ農業省農村経済研究所により認証を受けており、広く普及することができる。
  2. 技術マニュアル(植生保全マニュアル等10分冊)は、地方行政官が村落住民を指導する際に必要な情報や手順をわかりやすく示しており、両国の関係部局から高く評価されている。
  3. ニジェール農業省は、農地・自然資源の保全を対象とする土地管理制度の普及にあたって、本手法を採用した村土地委員会を基盤とした植生改善プロジェクトを実施する意向がある。
図表1 235305-1.jpg
図表2 235305-2.jpg
研究内容 http://www.jircas.affrc.go.jp/kankoubutsu/seika/seika2012/2012_06.html
カテゴリ 乾燥

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