新疆ウイグル自治区における地元行政主導の定住牧畜民への技術支援対策

タイトル 新疆ウイグル自治区における地元行政主導の定住牧畜民への技術支援対策
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2007~2012
研究担当者 伊賀啓文
大森圭祐
羽佐田勝美
小林 勤
丸本 充
千葉精一
発行年度 2012
要約 中国・新疆ウイグル自治区において推進されている牧畜民の定住事業に関し、地元行政関係者の役割を重視した定住後の牧畜民への総合的かつ体系的な技術支援上の留意点と、パイロットプロジェクトで得られた技術的知見を、現地の技術支援担当者や牧畜民が利用できるよう中国語ガイドライン並びに中国語及びカザフ語の技術マニュアルとして取りまとめたものである。
キーワード 中国、新疆ウイグル自治区、牧畜民定住
背景・ねらい 新疆ウイグル自治区政府は退化が著しい冬牧場への負荷を軽減するために、冬季の畜舎飼育と夏季の天然草地利用を組み合わせた禁牧・休牧措置を拡大する施策を立て、牧畜民の定住化を進めることにより、新しい営農の構築による生活の安定と天然草地の保護・回復を図ろうとしている。しかしながら、定住後の牧畜民は飼料栽培や畜舎飼育などの農牧業の経験がない上に、彼らに対する技術指導についても、往々にして県からその下の行政組織である郷へ、さらに村の牧畜民へと上意下達、縦割りの指導が行われており、必ずしも十分な効果を上げていない状況にある。こうしたことから、牧畜民が定住開始後出来るだけ早期に安定経営に移行できるよう、村の開発戦略を策定した上で、それに基づく総合的、体系的な技術支援を行っていくモデルを提示する必要に迫られている。
成果の内容・特徴
  1. プロジェクト活動の前半では、定住村のインフラ整備や定住牧畜民への技術指導において、郷政府が主要な役割を果たすことを確認した。そして、後半の活動では郷政府の幹部と郷政府に配置されている分野別技術普及担当員の相互連携の強化と能力の向上を図るため、個別指導や牧畜民への技術指導時のOJT(on the job training)を実践し、郷政府の地域マネージメント能力を高めた(図1)。
  2. 本成果は、そうした取り組みにおいて得られた知見とパイロットプロジェクトにおいて生じた技術的課題について、ガイドライン(中国語)及び各分野別の技術マニュアル(中国語)として取りまとめたものである。いずれも図表あるいは写真を取り入れ視覚的に訴える形態で、ターゲットの郷関係者が理解しやすいよう配慮している(図2、図3)。
  3. ガイドライン「定住牧畜民の安定経営に向けた指導読本」については、定住牧畜民への技術支援に携わる人々が幅広い横断的知識を得ることを目指し、定住事業の指導者と新人の行政担当者が対話しながら、定住後の歳月に伴って生じる課題についてどのように対処すべきか、そのヒントを示す読み物形式としている。
  4. 栽培及び家畜飼養分野の技術マニュアルについては、中国語の図書の読解が困難なカザフ族牧畜民への研修教材としても活用できるようカザフ語版も作成している。
成果の活用面・留意点
  1. 自治区政府の牧畜民定住化の政策は、2つのモデル村の周辺地域で新しい定住村が建設されるなど今後さらに加速される予定であり、本プロジェクト成果を普及するニーズは非常に高い。
  2. 2つのモデル村でのパイロットプロジェクトの管理・運営に携わった地元市・県の科学技術局では、既にプロジェクト成果を用いた普及計画を策定している。
  3. 本成果は、JICAからの受託事業の実施によって得られた成果である。
図表1 235306-1.gif
図表2 235306-2.gif
図表3 235306-3.gif
図表4 235306-4.jpg
研究内容 http://www.jircas.affrc.go.jp/kankoubutsu/seika/seika2012/2012_07.html
カテゴリ 技術支援 経営管理

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