レーザー距離計を用いた土水路の動水勾配の計測方法

タイトル レーザー距離計を用いた土水路の動水勾配の計測方法
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2011~2015
研究担当者 廣内慎司
團 晴行
廣瀬千佳子
発行年度 2012
要約 開発途上国の水田地帯は土水路が多いことから、土水路の機能を評価するために必要な動水勾配についてレーザー距離計を用いることにより簡易に測定することができる。
キーワード 土水路、動水勾配、レーザー距離計、粗度係数、アフリカ
背景・ねらい アフリカにおける水田地帯には土水路が多く、土水路は自然災害に対し脆弱であるため、土水路は気象地形土壌条件などに応じた様々な対策が必要である。それら対策の有効性を検証し、土水路の機能を評価するために動水勾配(水面勾配)を測定する必要がある。しかし土水路はコンクリート水路と異なり水路床に土砂が堆積しているため、水準測量器では正確に水路床高さが測れない。このため従来はコンベックス(鋼製巻尺)を用いて直接水面の高さを計測していた(図-1、左)。しかしこの方法は、(1)コンベックスの先端が水と接していることを目視で確認する必要があり、計測には最低でも二人必要である、(2)水面は常時動くので慣れていないと正確な水面が測れない、(3)基準点を水路の上に設けると営農上支障が生じる、といった困難さがある。このため、簡易に土水路の動水勾配を測定する方法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. レーザー距離計(LR)を用いて、水路の異なる二点のLRから水面までの高さ(h2)を計測することにより、動水勾配を容易に計測・算定できる(図1、右;図2)。測定性能は機器の分解性能による。LRの精度は±2mm程度である。
  2. LRは測定器からレーザー光を放射し目標物から反射された光との位相差により非接触で距離を計測する器機であるため、対象物(水面)がレーザー光を正確に反射するための工夫が必要である。
  3. このため、ペットボトルの上下を切り取り筒状にした後、土水路に差し込み、筒の中にフロート(発泡スチロールの板)を浮かせることにより、LRが水面を捉えるように工夫した。筒の内側と外側の水面を同調させるためには筒に穴を開ける必要がある。穴の開け方は、丸穴を空ける方法、スリット状に切り取る方法があり、どちらの測定データも差異がないので、ペットボトルの構造がより強固となる丸穴の方法がよい。また、断面が矩形のペットボトルの場合、一辺が流れに対して平行になるように設置する(タイプ-2)方が、測定精度が良い(表1、図3)。
  4. 本計測手法は、測定補助材料が現地で容易に入手できるため、水路の動水勾配を簡易に計測できる。動水勾配を測定することにより水路の粗度係数(流れにくさを示す係数)の算定が可能となり、用水計画の策定に役に立つほか、土水路の劣化進行の指標として利用が可能である。また、ローテーティングレーザー(水平なレーザー光を発生する装置とその受光部)を組み合わせることにより、レーザー距離計の相対高さ(h1)を一人で計測することが可能である。
成果の活用面・留意点
  1. あらゆる土水路において広く利用が期待される。
  2. ローテーティングレーザーはまだ途上国ではまだ普及していない。このため、地方政府や地元コンサルタントが利用する場合は、水準測量器を使用し複数体制で計測する必要がある。
図表1 235311-1.gif
図表2 235311-2.jpg
図表3 235311-3.gif
図表4 235311-4.gif
研究内容 http://www.jircas.affrc.go.jp/kankoubutsu/seika/seika2012/2012_12.html
カテゴリ 水田

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