ガーナ北部氾濫低湿地での稲作拡大に向けた土壌炭素分布と硫黄欠乏の解明

タイトル ガーナ北部氾濫低湿地での稲作拡大に向けた土壌炭素分布と硫黄欠乏の解明
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2011~2015
研究担当者 辻本泰弘
山本由紀代
林 慶一
八田珠朗
坂上潤一
藤原洋一
Mathias Fosu
Yahaya Inusah
Alhassan I. Zakaria
発行年度 2012
要約 土壌炭素量の空間分布を「水源(河川と湖沼)からの距離」の対数関数として推定するモデル式と欠乏する硫黄成分の施用を組み合わせることにより、窒素供給力の高い地点の選定とイネ生産に対する効率的な窒素利用が可能となり、未利用の氾濫低湿地におけるイネ栽培面積の拡大に貢献できる。
キーワード アフリカ、氾濫低湿地、稲作、土壌炭素分布、硫黄欠乏
背景・ねらい サブサハラ地域が有する約3千万ヘクタールの氾濫低湿地は比較的肥沃度の高い土壌と季節的な湛水をもつことから、潜在的なイネ可耕地として期待が大きい。氾濫低湿地における稲作面積の効率的な拡大には、土壌からの養分供給力が高い場所を優先的に選定して、そこでのイネ生産に有効な施肥法を開発することが重要である。そこで、ガーナ国ノーザン州を流れる白ボルタ川流域の氾濫低湿地を対象にして、土壌肥沃度の指標として有効な全炭素量の空間分布モデルを作成するとともに、異なる肥料成分を用いたポット試験によりイネ生育に制限となる欠乏養分を特定する。
成果の内容・特徴
  1. 対象地域で採取した全89地点の表層土壌(0~15cm)の全炭素量は、2.0~40.2g kg-1の大きな変異がみられ、土壌採取地点における「白ボルタ川からの距離」、「水源(河川と湖沼)からの距離」、「標高」、および「傾斜度」の地形変数を用いて解析すると、土壌炭素量の空間分布は「水源(河川と湖沼)からの距離」の対数関数として最も精度よく近似される(図1)。
  2. 未利用地ならびに居住区に比較的近い後背湿地周辺に炭素量の大きい土壌が存在する(図2)。
  3. 土壌の全炭素量は、ポット試験における植物体の窒素吸収量の土壌間差異をよく説明していることから、対象地域における窒素供給力の指標として有効である(図3)。
  4. 対象地域におけるイネの乾物生産は硫黄欠乏により著しく制限される(表1)。そのため、硫黄成分を付与しない窒素、ならびにリン、カリウムなどの施用は、それらの植物体吸収量を増加させるのみで、乾物生産への寄与は小さい(表1)。
  5. 硫黄施用の効果は、水源(河川と湖沼)に近く土壌炭素量の高い地点でより大きい(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 土壌炭素量の空間分布は湛水頻度とも連動しており、後背湿地周辺の未利用地に稲作面積を拡大することで、土壌の窒素供給力および湛水可能性の両面で高い生産性が期待される。
  2. 硫安など現地で入手可能な硫黄成分を有する肥料資材を用いることにより、土壌ならびに施肥由来の窒素をイネ生産に有効利用できる。
  3. 稲作適地選定には、イネにストレスとなる完全冠水のリスクなど水動態についても合わせて考慮する必要がある。
図表1 235313-1.gif
図表2 235313-2.jpg
図表3 235313-3.gif
図表4 235313-4.gif
図表5 235313-5.gif
図表6 235313-6.jpg
研究内容 http://www.jircas.affrc.go.jp/kankoubutsu/seika/seika2012/2012_14.html
カテゴリ 肥料 施肥

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