高地下水位条件下における圃場レベルの塩害軽減対策のガイドライン

タイトル 高地下水位条件下における圃場レベルの塩害軽減対策のガイドライン
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2008~2012
研究担当者 奥田幸夫
池浦 弘
大西純也
新田直人
冨久尾歩
志賀 薫
成岡道男
大矢徹治
山中 勇
Y.I.Shirokova
発行年度 2012
要約 地下水に含まれる塩類に起因する塩害が深刻な中央アジアにおいて、農家が自ら実施できる圃場レベルの塩害対策技術を実証し、これを塩害軽減対策ガイドラインとして取りまとめた。
キーワード 塩類集積、地下水、節水灌漑、均平化、輪作
背景・ねらい 中央アジアのアラル海に注ぐアムダリア・シルダリアの両河川流域は、1950年代以降、大規模な灌漑開発が実施された。これら地域では、過剰な灌漑により地下水が上昇してウォーターロギングが生じ、河川水・地下水に含まれる塩類が圃場に集積し、作物の収量低下、耕作放棄等の深刻な塩害が生じている。これまで、政府主導により、塩害の主要因である高地下水位条件を解消するため、灌漑施設の漏水の改善や排水路の維持管理等が行われている。しかし、個々の農家は、依然として過剰な灌漑を行っており、農家自身が節水や排水の必要性を理解し、対策技術を確実に導入しなければ、根本的な解決に至らない。本ガイドラインは、中央アジアで最大の塩害農地を有するウズベキスタン国において、同国農業水資源省及びフェルメル協会の協力の下、農家自らが実践可能な圃場レベルの技術を実証し、農家向けの技術指針として取りまとめたものである。
成果の内容・特徴 農家が実施可能な塩害対策技術について、実際の圃場において精緻な調査・試験を行い、技術的な改善点を整理するとともに、その効果を検証した。ガイドラインにおいては、これらの費用効果を明らかするとともに経営モデルとして取りまとめ、また、塩害軽減対策の技術的背景についても、明解かつ平易に現地語で説明している。具体的内容は以下のとおり(表1)。
  1. 塩害の発生原因と影響、現在の営農との関わりについて農家の再認識を図るため、高地下水位条件下の塩害のメカニズムを分かり易く解説している。また、塩害と農業生産の関わりについて理解を促すため、圃場でのモニタリング結果に基づき地下水位、土壌塩分濃度及び作物収量の空間分布を視覚的に示している(図1)。
  2. 地下水位上昇を抑制するための節水技術として、新たな機材や大幅な労力の増加を伴わない簡易な間断式畝間灌漑法、選択的畝間灌漑法及び節水効果を高める圃場の均平化技術を検証し、慣行法と比較した節水効果を分かり易く解説している(図2)。また、高いコストが導入上の制約となる均平化技術では、農家作業を組み合わせた施工費用の軽減手法を提案している。
  3. 地下水位低下のための排水路の管理に関して、現在政府が主導していることに加え、農家が各圃場で取り組むべき排水路の点検、暗渠排水の管理等について示している。
  4. 農家が対策技術の導入に必要な収入が得られるように、既存のワタ・コムギの2年輪作をベースに夏作物、緑肥作物を加えた改良型輪作体系を提案し、16の夏作物の灌漑回数、耐塩性、収益等の情報を示し、農家側の作物選択の幅を広げている。
  5. 代表的な農家の経営モデルを設定し、提案技術の段階的導入による収支を試算し、対策技術が農家自身で実践可能であることを示している(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. ガイドラインは農業水資源省の合意の下、ロシア語・ウズベク語を作成している。また、農家が圃場で利用し易い普及版を併せて作成している。
図表1 235316-1.gif
図表2 235316-2.jpg
図表3 235316-3.jpg
図表4 235316-4.gif
研究内容 http://www.jircas.affrc.go.jp/kankoubutsu/seika/seika2012/2012_17.html
カテゴリ 経営モデル コスト モニタリング 輪作 輪作体系 わた

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