伊勢湾におけるシャコの冬季水揚げ制限と経済的効果の試算

タイトル 伊勢湾におけるシャコの冬季水揚げ制限と経済的効果の試算
担当機関 愛知県水産試験場
研究期間 2001
研究担当者 日比野学
発行年度 2011
要約 シャコの資源豊度が高かった80年代と比較すると、近年は冬季の漁獲割合が高く、春季の産卵水準が低下している可能性が示唆された。秋の漁獲量や試験曳き結果から翌春までの漁獲量を推定することで、適切な制限量の提案が可能となった。価格形成関数から、水揚げ量制限による経済効果を推定するモデルを作成し、冬季の水揚げ制限が産卵水準だけでなく漁獲金額の増加にも寄与することを見出した。
背景・ねらい 愛知県におけるシャコ漁獲量は90年代に減少し、近年低位水準で推移している。小型底びき網漁業の経営は近年厳しくなってきており、資源減少の要因を明らかにするとともに、漁業者の経済的負担が軽い資源回復に向けた漁業管理技術が求められている。そこで本研究では、漁獲統計資料等を解析し、資源減少要因から冬季水揚げ制限の必要性を明らかにし、その制限量の設定と経済的影響について漁業者に提案し合意形成を得ることを目的とした。
成果の内容・特徴
  1. 伊勢湾における冬季の漁獲割合(1~5月の漁獲量合計に対する1、2月漁獲量の割合)は、温暖化レジームに移行したとされる90年代始めから顕著に多くなっており、逆に同年級群の資源量指標は低くなってきたことを見出し(図1)、冬季水揚げ制限による春産卵群の確保が重要であると推定された。
  2. 漁獲統計資料および漁場一斉調査におけるシャコの採捕量と、同年冬以降翌年5月までの合計漁獲量には直線関係があることを明らかにし(図2)、水揚げ制限のための資源量予測が可能となった。
  3. 漁獲量と単価の関係を解析し、12月から5月における各月漁獲量と当該期間に得られる総漁獲金額の試算モデルを作成した。このモデルにより、冬季水揚げ制限を行うことによる経済効果を評価した結果、80年代の資源豊度の高かった冬季の漁獲割合(0.15程度)まで水揚げ制限をすることで、得られる漁獲金額は最大になると試算された(図3)。
  4. 以上の結果より、シャコの冬季水揚げ制限は、漁業者に過度の経済的負担を強いることなく産卵水準の増加に寄与しうる管理方策であると判断され、漁業者間で速やかに実施が合意された。
成果の活用面・留意点 伊勢湾で操業する小底の漁業者団体である「愛知県まめ板網漁業者組合」は、冬季水揚げ制限を実施しており、平成22年度はほぼ提案どおりの制限量で実施された。漁獲量を制限しても漁獲金額が減少するリスクが少ないことを提示した効果が大きい。また、シャコの資源変動においては貧酸素水塊による影響も大きく、夏季の漁業管理も併せて考えていく必要がある。
図表1 235384-1.gif
図表2 235384-2.gif
図表3 235384-3.gif
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=3303&YEAR=2011
カテゴリ 管理技術 経営管理

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