クロマグロ種苗生産の餌料に利用する場合のハマフエフキ受精卵の大量消毒法 ‐VNN防疫対策として‐

タイトル クロマグロ種苗生産の餌料に利用する場合のハマフエフキ受精卵の大量消毒法 ‐VNN防疫対策として‐
担当機関 (独)水産総合研究センター 西海区水産研究所
研究期間 2009~2009
研究担当者 樋口健太郎
江場岳史
田中庸介
久門一紀
西 明文
二階堂英城
塩澤 聡
発行年度 2011
要約 ウイルス性神経壊死症(VNN)の発生は、種苗生産に甚大な被害を及ぼすため、その防疫体制の構築が必須である。クロマグロの種苗生産では、仔稚魚期の餌料として大量のふ化仔魚を必要とするが、ふ化仔魚に由来するVNN原因ウイルスの水平感染が懸念される。本研究では、VNN防疫対策として、餌料に利用するふ化仔魚の受精卵に対する大量消毒法を開発した。
背景・ねらい 一般的に、ウイルス性神経壊死症(VNN)防疫対策として、電気分解処理した海水(電解海水)を用いた受精卵消毒が行われている。クロマグロ種苗生産では、餌料として大量のふ化仔魚を利用するため、VNN防疫対策としてこれに応じた量の受精卵を消毒する必要がある。しかし、大量の受精卵を一度に消毒すると、消毒水槽内の消毒成分(残留塩素)の濃度低下が起こり、効果的な消毒を行うことができない。本研究では、卵消毒中の残留塩素濃度の低下防止法を検討し、受精卵の大量消毒法の開発を試みた。
成果の内容・特徴
  1. 卵消毒中の残留塩素濃度の低下防止には、卵表面に付着している夾雑物を新鮮な海水で洗い流し(卵洗浄という)、その後に電解海水を用いて卵表面を消毒(卵消毒という)すること、また、卵消毒中に水槽内へ電解海水を注水することが有効であると考えられる。このことから、卵洗浄の時間および卵消毒中の電解海水の注水量の検討を行った。
  2. 試験1として、卵洗浄時間を0、0.5、2時間とする3試験区を設定し、卵洗浄後、電解海水7.0kL/hを注水して卵消毒(残留塩素濃度0.5mg/L、1分間)を行った(図1)。その結果、卵洗浄を2時間、合計4倍量の新鮮な海水を用いて行った場合のみ残留塩素濃度の低下が生じなかった(図2)。また、卵洗浄を2時間行った場合において、卵消毒後のふ化率の低下は認められなかった(図3)。
  3. 試験2として、卵洗浄を2時間行った後、卵消毒中に注水する電解海水の量を0.0、3.0、7.0kL/hとする3試験区を設定し、卵消毒(残留塩素濃度0.5mg/L、1分間)を行った(図1)。その結果、注水量を7kL/hとして卵消毒を行った場合のみ、卵消毒中の残留塩素濃度の低下が生じなかった(図4)。
  4. 以上より、新鮮な海水で十分な卵洗浄を行うこと、卵消毒中に十分量の電解海水を消毒水槽内に注水することにより、卵消毒中の残留塩素濃度の低下を防止でき、効果的な大量受精卵消毒が可能となった。
成果の活用面・留意点 本研究の方法により、ふ化仔魚に由来するクロマグロ仔稚魚へのVNN原因ウイルスの水平感染の防除が可能となり、クロマグロ種苗生産におけるVNN防疫体制の強化が期待される。
図表1 235410-1.gif
図表2 235410-2.gif
図表3 235410-3.gif
図表4 235410-4.gif
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=3229&YEAR=2011
カテゴリ 病害虫 防除

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