亜熱帯沿岸域における低次生産環境の特性

タイトル 亜熱帯沿岸域における低次生産環境の特性
担当機関 (独)水産総合研究センター 西海区水産研究所
研究期間 2006~2010
研究担当者 福岡弘紀
下田 徹
阿部和雄
亀田卓彦
発行年度 2011
要約 亜熱帯沿岸域において水環境と低次生産生物の特性を明らかにするため調査を行った。その結果、栄養塩類やクロロフィルaは低濃度で季節的な変動もみられないが、主要な動物プランクトンであるカイアシ類の生物量や生産速度は比較的高く、温帯の開放性沿岸水域に匹敵するか上回った。生物量は季節的な変動がみられ、やや閉鎖的な水域では高水温期に沿岸性・内湾性種が卓越し著しく上昇した。
背景・ねらい 亜熱帯域においても沿岸性魚類の資源量は低下傾向にあるが、環境要因としては棲息場・成育場となるサンゴの劣化や藻場の減少などが考えられている。亜熱帯域においても人間活動による負荷は増大しており、それにともなう沿岸水域の低次生産環境の変化による影響も懸念される。しかし、我が国の亜熱帯沿岸域における低次生産環境についての知見は乏しく継続的な調査研究は皆無である。そこで、生態系構造の把握や環境のモニタリングのための基盤的な知見を得るため、亜熱帯沿岸域における水環境および低次生産生物の特性を明らかにする。
成果の内容・特徴 沖縄県石垣島沿岸の外洋に面する開放的な水域(宮良湾沖)と陸や浅海に囲まれやや閉鎖的な水域(名蔵湾)に設けた定点において、水環境、クロロフィルa濃度、動物プランクトン生物量について調査した。水温、塩分環境は高水温・低塩分期(6~11月)と低水温・高塩分期(12~5月)に大別された。栄養塩類とクロロフィルa濃度は全ての定点で一年を通して低く、降雨による表層の短期的な変化はみられるが季節的な変動傾向はみられなかった。クロロフィルa濃度は名蔵湾の方が僅かに高く、地形による海水交換速度の違いが植物プランクトンの増殖に影響していることが考えられる。主要動物プランクトンの生物量は開放性水域の沖合(Stn. M1)より沿岸(Stn. M3)で高く、さらにやや閉鎖的な水域(名蔵湾)の方が高かった。名蔵湾ではカイアシ類の生物量は温帯の開放性沿岸水域(相模湾)における値に匹敵し、生産速度(0.12-3.56mgC/m3/day)では上回り、生産性が高いことが示された。また、カイアシ類の生物量には季節的な変動がみられ、名蔵湾では高水温期に沿岸性・内湾性種が卓越して著しく上昇した。クロロフィルa量は一年を通して低濃度で変動が小さいことから、カイアシ類生物量の変動には微小動物プランクトンや、サンゴなど底生生物による産出物を起源としたデトリタス等との関連が考えられ、生産性の高い底生生物の生産物が漂泳区生態系に影響を与えている可能性が考えられる。
成果の活用面・留意点 亜熱帯沿岸域において継続的な調査から水環境と低次生産生物の変動を初めて示した。
底生生物による生産と漂泳区生態系との物質循環の解明を進展させる。
亜熱帯沿岸域の生態系構造に対する環境負荷の影響評価の基礎的知見となる。
図表1 235411-1.gif
図表2 235411-2.gif
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=3351&YEAR=2011
カテゴリ 亜熱帯 モニタリング

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる