閉鎖循環システムを用いた飼育排水の再利用によるハマフエフキ親魚養成及び採卵

タイトル 閉鎖循環システムを用いた飼育排水の再利用によるハマフエフキ親魚養成及び採卵
担当機関 (独)水産総合研究センター 西海区水産研究所
研究期間 2011~2011
研究担当者 江場岳史
樋口健太郎
田中庸介
久門一紀
西 明文
二階堂英城
塩澤 聡
山本義久
発行年度 2011
要約 クロマグロ種苗量産にはハマフエフキ受精卵の大量確保が不可欠であるが、限られた取水量により陸上水槽でのハマフエフキ親魚養成が制限され大量確保に至っていない。そこでハマフエフキ親魚養成における、閉鎖循環システムによる飼育排水の再利用を検討した結果、再利用区において流水区と同等の採卵成績が得られ、本システムを用いた排水の再利用によるハマフエフキ親魚養成が可能であることが判明した。
背景・ねらい 西海区水産研究所奄美庁舎では、クロマグロ仔稚魚用餌料としてハマフエフキのふ化仔魚を給餌している。種苗生産を行うためには餌料用ふ化仔魚の安定供給が必須であるが、取水量不足のためハマフエフキの親魚養成規模を拡大することが出来ず不安定な供給となっていた。そこで、 瀬戸内海区水産研究所屋島庁舎が開発した閉鎖循環システムを用いて飼育排水を再利用することで、親魚養成の規模拡大を図り、ハマフエフキ受精卵を大量かつ安定的に確保する手法を開発し、クロマグロの種苗量産化を図る条件を整備する。
成果の内容・特徴
  1. 本試験では、掛け流しの流水区と、閉鎖循環システムを用いて流水区の排水を再利用する排水再利用区の2区を設けた。飼育水槽は150klRC製八角形水槽を用い、閉鎖循環システムは受水槽、泡沫分離装置、生物濾過槽、循環ポンプで構成した。流水区は砂濾過海水を18KL/h注水したのに対し、排水再利用区は流水区の排水を15KL/h注水すると共に新水を6KL/h注水した (図1) 。また両区共に平均魚体重3.7キログラムのハマフエフキ親魚を75尾(♀50尾、♂25尾)ずつ収容し、自然水温・自然日長で飼育した。
  2. 試験は平成23年7月9日~8月31日までの52日間行い、試験期間中の日平均採卵数 (浮上卵)は、流水区が630万粒/日、排水再利用区は800万粒/日であった(図2)。
  3. 試験期間中の飼育水はアンモニア態窒素及び亜硝酸態窒素は排水再利用区の数値が僅かに高かったが、両区とも低レベルで推移した。硝酸態窒素は、両区ともほぼ同様に推移した。(図3~5)。また水温、DOおよびpHについて有意な差は認められなかった。
  4. 本試験の結果から、循環システムを用いて飼育排水を適切に処理することで、これまでと同等の親魚養成、採卵が可能であることが明らかとなった。本試験において日平均採卵数が排水再利用区の方が流水区より若干多くなったが、水槽内の飼育環境に差がないことから親魚の個体差も影響していると考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 本研究では、閉鎖循環システムを用いて飼育排水を再利用することにより、ハマフエフキの陸上での親魚養成・採卵が可能であることを明らかにし、海水の有効活用を図ることを可能とした。
  2. 取水量不足の対策として、高額の施設整備を必要としない有効手法として活用が期待される。
図表1 235420-1.gif
図表2 235420-2.gif
図表3 235420-3.gif
図表4 235420-4.gif
図表5 235420-5.gif
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=3253&YEAR=2011
カテゴリ 規模拡大

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