タイトル |
サクラマス人工産卵場の造成技術 |
担当機関 |
山形県内水面水産試験場 |
研究期間 |
2005~2009 |
研究担当者 |
河内正行
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発行年度 |
2011 |
要約 |
本県における調査で得られた知見を基に、既報のイワナの人工産卵場技術を参考にして、山形の魚であるサクラマスの人工産卵場造成技術を開発した。
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背景・ねらい |
サクラマスの資源を増大させるためには、現在の河川環境が有する潜在的な生産力を有効に利用する技術開発が必要である。その方法の一つとして、産卵場の環境整備による産卵促進が挙げられる。そこで、本県における調査で得られた知見を基にサクラマスの人工産卵場を造成し、その効果を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 赤川水系梵字川支流早田川において、9月上旬に産卵場を1ヵ所造成した。
- 造成方法は以下のとおりで(図1)、1ヶ所の造成時間は10名で約3時間である(図2)。
- 大きな石を取り除きながら、水深が60~70cmになるようにする。
- その下流側に、産卵場の礫の流失を防ぐための直径20cm以上の大きい石「礫止め」を置く。
- 「礫止め」の上流側の川底に、産卵場の基礎となる大きめの礫(長径10~20cm)を置く。
- その「基礎」の上に、直径5~10cmの礫石を、厚さが約30cmになるように敷く。その際、高低差を上流側の方が下流側より約10cm低くなるようにする。
- 流速を約30cm/秒となるように、下流側の水面幅を広げたり狭めたりすることで調整する。
- 赤川支流早田川に造成した産卵場では(図3)、産卵期(10月)の調査で4ヶ所の産卵床を確認し、その後の掘り起こし調査(11月)で、サクラマス発眼卵を確認した(図4)。造成した人工産卵場はサクラマスに利用されており、効果を確認できた。
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成果の活用面・留意点 |
- 漁協や河川管理者に印刷物を配布し、サクラマス人工産卵場の造成技術を広めるための資料とする。
- 産卵場造成の際は、事前に河川管理者の許可を得る必要がある場合がある。
- 産卵環境に関する知見が得られるたびに、産卵場造成技術を改訂していく。
- 人工産卵場造成が必要であるのは、十分な産卵親魚のそ上があり、砂防堰堤等で上流からの礫石の供給が少なく大きな淵の淵尻で露岩化が進行している場所である。造成時期は、産卵期前の9月上旬~中旬である。
- 産卵場造成が必要な支流の判断基準として、親魚そ上数等を基に検討する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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研究内容 |
http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=3295&YEAR=2011
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カテゴリ |
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