タイトル |
北海道日本海におけるハタハタ資源の再生産関係 |
担当機関 |
地方独立行政法人北海道立総合研究機構中央水産試験場 |
研究期間 |
2005 |
研究担当者 |
星野 昇
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発行年度 |
2012 |
要約 |
近年、資源状態が急速に悪化している北海道日本海のハタハタ資源について、コホート解析による資源計算と1歳魚の成熟率の検討を行い、産卵親魚量および新規加入尾数を推定するとともに、稚魚の採集調査データを解析し、資源管理方策の検討に必要な再生産関係を把握した。
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背景・ねらい |
対象のハタハタ資源は、石狩市沿岸域を主産卵場として留萌地方沖合域にかけて分布し、秋季に漁獲される。その漁獲量は大きく変動しながら推移し2008年以降は急減している(図1)。関係の漁業体で組織する「日本海北区ハタハタ漁業実践会議」で、その年の資源状況に応じた管理計画が定められているが、資源水準の急減を受けて漁獲努力量を大幅に削減した場合の管理効果の評価が求められている。その場合、努力量削減によって取り残した産卵親魚から次世代の加入量の増加が期待できるか否か、すなわち再生産関係の評価が必要である。
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成果の内容・特徴 |
コホート解析の結果から、資源の大半は1歳と2歳の2年級で構成されており、1997年以降は1999、2001、2006年級群が高豊度で加入して漁獲を支えたことが示された(図1)。また、1歳雌の成熟割合は体サイズに依存的であり(図2)、毎年すべての個体が成熟する状況にはないことが判った。これらに基づき、1997年以降の各年級群の加入豊度(1歳資源尾数)とその産卵親魚量を推定し、両者の関係および稚魚期の分布密度との関係をみたところ、産卵親魚量120トン程度までは稚魚分布密度との間に正の相関関係があった(図3-b)。稚魚分布密度と加入豊度の間にも正の相関関係がみられたが、1999、2001、2006年級群については稚魚分布密度に対し著しく高い加入豊度であった(図3-c)。以上のことから、当資源の再生産関係については、資源の低水準期には、産卵親魚の取り残しによる加入増が期待できるが、資源・漁獲の水準は、主に離岸してから加入までの時期の生存条件に応じて発生する高豊度年級の有無に左右される傾向があり、親魚量が非常に多くなると産卵からふ化して稚魚に至る過程で、生存率が下がる可能性があること等が判った。
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成果の活用面・留意点 |
得られた情報を組み入れた動態シミュレーションにより努力量削減効果の検討を行い、資源回復・維持に向けた管理方策の提言につなげていく。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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研究内容 |
http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4197&YEAR=2012
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カテゴリ |
動態シミュレーション
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