タイトル |
湾・内海スケールでのアサリ稚貝の自給と干潟ゾーニングによる生産増大システムの開発 |
担当機関 |
地方独立行政法人北海道立総合研究機構中央水産試験場 |
研究期間 |
2009~2011 |
研究担当者 |
櫻井 泉
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発行年度 |
2012 |
要約 |
アサリ造成漁場における漁業生産の最適化を目指して、稚貝の成長・生残に適した成育場の選定法を開発するとともに、漁獲に結びつかない稚貝の採集法を確立し、成育場評価から稚貝採集・放流を経て漁獲に至る工程を干潟ゾーニング手法として提示した。
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背景・ねらい |
道内のアサリ造成漁場では、稚貝は発生するものの成長が遅く漁獲に結びつかない場所や、成長は良好なものの稚貝発生が乏しい場所が同一漁場内でしばしば観測される。このような漁場では、稚貝供給場と成育場を分けて管理することでアサリ生産の最適化が可能と考えられる。こうした中、北海道中央水試では、波で流されるアサリ稚貝をホタテ貝殻の散布によって漁場に集める技術をサロマ湖造成漁場において開発したが、その後、地元より貝殻散布場に集まった成長の遅い稚貝や、漁場以外の場所に集積した稚貝を成育適地に放流し、生産に結びつけるための技術開発が要望されていた。そこで、本研究ではアサリ造成漁場における漁業生産の最適化を目指して、稚貝の成長・生残に適した成育場選定法を開発するとともに、漁獲に結びつかない稚貝の採集法を確立し、成育場の評価から稚貝採集・放流を経て漁獲に至る工程を干潟ゾーニング手法として提示することを目的とする。
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成果の内容・特徴 |
- <成育場選定法の開発>
- 当該漁場では、場所による稚貝の成長の偏りや、波による稚貝の減耗が安定生産の障害となっていた。そこで、ケージ試験と平面波浪場解析により稚貝の成長・生残適地を検討した結果、肥満度を指標とした成長は1工区が最も良く(図1)、波で稚貝が移動する確率は各工区とも沖側ほど低いことが判明した(図2)。このため、本研究では1工区沖側を成育適地に選定した。さらに、稚貝の放流試験を行った結果、1工区沖側は4工区岸側に比べて放流12か月後の稚貝の殻長が1.7倍、生残率が4.4倍となったことから(図3)、成育適地の選定が妥当であったことが実証された。
- <稚貝採集法の確立>
- 事前調査の結果、貝殻散布場と第2湖口入り江には殻長20mm以下の稚貝が1,000~3,000体/㎡の密度で生息することが把握された。そこで、これら稚貝を効率的に採集する方法を検討した結果、エジェクタポンプによる3時間の吸引作業で約36,000個体の稚貝採集が可能なことが示された。
- <干潟ゾーニング手法の提示>
- 以上を踏まえ、成育場評価から稚貝採集・放流を経て漁獲に至る工程をゾーニング手法として提示した(図4)。
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成果の活用面・留意点 |
当該成果は、常呂漁協が管理するサロマ湖アサリ造成漁場において、新たなアサリ生産システムとして活用される見込みである。また、道内において稚貝は発生するものの成長が遅く、漁獲に結びつかないアサリ漁場への適用も期待できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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研究内容 |
http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4040&YEAR=2012
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カテゴリ |
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