海上施設での中間育成におけるクロマグロ人工種苗の衝突死の発生頻度

タイトル 海上施設での中間育成におけるクロマグロ人工種苗の衝突死の発生頻度
担当機関 (独)水産総合研究センター 西海区水産研究所
研究期間 2010~2010
研究担当者 樋口健太郎
田中庸介
江場岳史
西 明文
久門一紀
二階堂英城
塩澤 聡
発行年度 2012
要約 クロマグロ人工種苗の海上施設における中間育成(以下、海上育成)では、沖出し後の生残率が非常に低いことが問題となっている。原因の一つとして生簀網への衝突が知られている。本研究では、衝突死の明確な指標となる死亡個体の骨損傷の割合を調べることで、衝突死の発生頻度の把握を試みた。その結果、沖出し後1か月以降では、生簀網への衝突が減耗の主要因となっていることが推察された。
背景・ねらい クロマグロ人工種苗の海上育成で発生する大量減耗の原因の一つとして生簀網への衝突が知られている。海上育成におけるクロマグロ人工種苗の安定かつ大量飼育技術を構築するためには、衝突死の発生頻度を把握することは重要である。通常、衝突死により死亡した個体には衝突の衝撃による骨損傷が認められる。本研究では、死亡個体の骨損傷を衝突死の明確な指標として用いることで、海上育成におけるクロマグロ人工種苗の衝突死の発生頻度の把握を試みた。
成果の内容・特徴 (独)水産総合研究センター西海区水産研究所奄美庁舎で生産されたクロマグロ人工種苗を平成22年7月15日(第1生産群)、8月30日(第2生産群)、9月17日(第3生産群)に沖出しし、90日間の海上育成を行った(表1)。海上育成は直径20m円形生簀内で行い、餌料はイカナゴを使用した。夜間はLEDライトを用いて電照を行った。毎日潜水により死亡個体の回収を行った。死亡個体の全長を測定した後、透明骨格標本の作製および解剖により副蝶形骨(図1a-A)および脊椎骨(図1a-B)の骨損傷の有無を確認した(図1bおよびc)。その結果、沖出し後5~30日、全長5.5~15.2cmの死亡個体の骨損傷の割合は0.0~12.0%であったが、沖出し後30~90日、全長21.0~39.2cmの死亡個体では急激に増加し、17.8~78.0%となった(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 本研究の結果から、沖出し後30日以降(全長約20cm以上)のクロマグロ人工種苗では、生簀網への衝突が減耗の主要因となっていることが推察された。本研究では、沖出し後30日時点で生残していた個体の20~40%が沖出し後90日までに死亡しており、沖出し後30日以降の衝突死を防除することは非常に重要な課題であると考えられた。
  2. 死亡個体の骨損傷は衝突死の明確な指標であるが、骨損傷のない死亡個体の死亡要因が衝突ではないと断定することはできない。今後、沖出し後30日までの衝突死の発生頻度について詳細な解析が必要である。
図表1 235499-1.gif
図表2 235499-2.jpg
図表3 235499-3.gif
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4121&YEAR=2012
カテゴリ 病害虫 飼育技術 防除

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