人工基質を使用したアコヤガイ天然採苗手法の開発

タイトル 人工基質を使用したアコヤガイ天然採苗手法の開発
担当機関 福岡県水産海洋技術センター
研究期間 2009~2011
研究担当者 梨木大輔
発行年度 2012
要約 杉葉を基質としたアコヤガイの天然採苗は膨大な作業量と高いコストがかかるため、新たな基質を使用しての効率的採苗手法が求められている。トリカルネットを基質として採苗試験を実施した結果、杉葉よりも多く、さらには低コストでアコヤガイを採苗できた。そのため、トリカルネットを使用することで効率的採苗が可能であると示唆された。
背景・ねらい 福岡県新宮相島では杉葉を基質としてアコヤガイを天然採苗し、それらを母貝とした真珠養殖が営まれている。現在の採苗手法は、杉葉を海中に垂下した後に、ある程度稚貝が付着した段階で一度取り上げて細かく切り分ける作業(切り込み)を行い、養殖カゴに詰め直して再度垂下した後、稚貝を杉葉から採取(稚貝もぎ)する工程であり、膨大な作業量を要する。また、杉葉は再利用できないため、毎年購入する必要があることからコストが高い。そこで、本研究では作業量とコストを考慮した効率的採苗手法の開発を目的として、切り込み作業を省略でき、再利用が可能なアコヤガイ採苗人工基質を検討した。
成果の内容・特徴 試験に使用した人工基質はトリカルネットを使用して作成した。目合い3mm、7.5mm、21mmのトリカルネットを、それぞれ4種類に加工して基質とした(図1)。(1)筒状(4つ入れ):30cm×25cmのトリカルネットを筒状にしたものを4つ提灯カゴに入れ、カゴを3段で1吊りとした基質。(2)筒状(8つ入れ):25cm×20cmのトリカルネットを筒状にしたものを8つ提灯カゴに入れ、カゴを3段で1吊りとした基質。(3)ロール状:250cm×100cmのトリカルネットに太さ約10mmのロープを付け、ロール状に巻いた基質。(4)板状:50cm×50cmのトリカルネットに約15mmのスペーサーを挟み込み、10枚重ねた基質。これら人工基質、対照区として杉葉を2011年7月に福岡県新宮相島地先に垂下し、11月に採苗個体数を計数した。なお、杉葉は9月に切り込みをした後に再度垂下したが、人工基質は垂下させ続けた。
杉葉よりも平均採苗数が多かった人工基質は目合い3mmおよび7.5mmの筒状(8つ入れ)、目合い7.5mmのロール状であった(図2)。また、これらの基質と杉葉で採苗された個体の蝶番長や殻幅、殻高には有意差が無かったため(p>0.05、一元配置分散分析)、人工基質でも杉葉と同質のアコヤガイが採苗できると推察された(図3)。さらに、人工基質は再利用するとして1個体あたりの採苗コストを試算した結果、1年目で目合い3mmの筒状(8つ入れ)が、3年目になると目合い7.5mmの筒状(8つ入れ)も杉葉より安い費用で採苗できると明らかになった(図4)。これらのことから、トリカルネットを基質とすることで作業量を軽減でき、さらには低コストでアコヤガイを採苗可能であると示唆された。
成果の活用面・留意点 作業量やコストを考慮した効率的な天然採苗に役立てるため、本研究によって開発されたトリカルネットによる採苗手法について、真珠養殖業者に情報提供および技術指導を行う。
図表1 235500-1.jpg
図表2 235500-2.gif
図表3 235500-3.gif
図表4 235500-4.gif
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4192&YEAR=2012
カテゴリ 加工 コスト 低コスト

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