タイトル |
神通川と庄川における日中のアユの遊漁(漁業)実態 |
担当機関 |
富山県農林水産総合技術センター |
研究期間 |
2002~2011 |
研究担当者 |
田子泰彦
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発行年度 |
2012 |
要約 |
庄川に比べ遊漁者数が多かった神通川では友釣りの遊漁者がその大部分を占めるとともに、その出漁努力は投網などの許可漁法の遊漁者に比べ著しく高かった。観察された5つの漁法では投網だけが河川流量が多くなると出漁人数が増える傾向が認められた。神通川に多くの遊漁者が訪れるのは、神通川の河川流量が日常的に多いこと、および良い河川形状が維持されているためと考えられた。
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背景・ねらい |
遊漁(漁業)者のためだけでなく、漁協運営の安定化という点でも、アユの遊漁者に河川漁場を数多く利用してもらう必要性が生じている。それには、アユの生息尾数の増加の他、良好な漁場環境の維持・保全に加えて、漁場の利用実態を的確に把握し、適正な漁場管理と資源管理を実施する必要がある。このため、北陸で有数のアユ漁場がある神通川と庄川において、日中に行われている遊漁(漁業)の実態を明らかにした。
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成果の内容・特徴 |
2002~2004年に神通川と庄川で日中に調べた遊漁者数と河川流量・濁度等との関係を解析し、アユ漁の遊漁実態を明らかにした。両河川では友釣りなどの2つの自由漁法と投網などの3つの許可漁法を行う遊漁者が観察された。遊漁者数が多かった神通川では友釣りの遊漁者がその大部分を占めるとともに(図1)、その出漁努力は投網などの許可漁法の遊漁者に比べ著しく高かった(図2)。友釣り、毛鉤釣り、テンカラ網およびコロコロ釣りでは、河川流量が多くなると出漁人数が減る傾向にあり、一定以上の出水時には遊漁者は認められなくなった。これに対して、投網では河川流量が多くなると出漁人数が増える傾向にあり、大きな出水時にも遊漁者が多く認められた(図3)。神通川に多くの遊漁者が訪れるのは、神通川の河川流量が日常的に多いこと(図4)、および良い河川形状が維持されているためと考えられた。庄川で遊漁者数を増やすには、平常時の河川流量を増加させるか、遊漁者数と出漁日数の多い友釣りの専用区を設定することが効果的と考えられた。
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成果の活用面・留意点 |
本研究で得られた知見を活用すれば、友釣りと漁場が競合する網漁の統数制限や友釣りの専用区の創設などにより、遊漁者数を増加させることが期待できるなど、有効な漁場利用(管理)に役立てることができる。また、河川管理者に対しては、遊漁者を増加させるには河川流量の増加が有効であるこを示すことができ、河川環境(流量)の改善につなげることができる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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研究内容 |
http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4209&YEAR=2012
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カテゴリ |
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