ペチュニアの大輪遺伝子型におけるサイトカイニン生合成・初期情報伝達系の調節

タイトル ペチュニアの大輪遺伝子型におけるサイトカイニン生合成・初期情報伝達系の調節
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 花き研究所
研究期間 2006~2011
研究担当者 西島隆明
仁木智哉
仁木朋子
発行年度 2011
要約 ペチュニアの大輪遺伝子型の系統・品種においては、サイトカイニン酸化酵素遺伝子、タイプAレスポンスレギュレーター遺伝子の発現に、サイトカイニンシグナルが亢進したときと同様の変化が起こっている。
キーワード 大輪化、Grandiflora、サイトカイニン酸化酵素、ペチュニア
背景・ねらい 大輪化は花きの経済的価値に関わる重要な要素であるが、その変異は発生率が低く、育種に長い年月を要する。また、その分子機構はほとんど明らかになっていない。これまでの研究で、サイトカイニンをペチュニア等の花芽に与えると花が著しく拡大することが明らかとなっており、サイトカイニンが大輪化に何らかの役割を果たすことが予想される。ペチュニアでは、ひとつの半優性遺伝子Grandiflora(G、分子レベルでは未同定)によって大輪化が誘導されることが知られている。そこで、本研究では、大輪遺伝子型のペチュニアにおいて、サイトカイニン生合成系および初期情報伝達系がどのように調節されているかを明らかにしようとした。
成果の内容・特徴
  1. ペチュニアの大輪遺伝子型(Gg)の品種では、細胞分裂期における花冠の内生サイトカイニン濃度が、活性型とされる遊離型のiP(イソペンテニルアデニン)、tZ(トランスゼアチン)、リボシド型のiPR(イソペンテニルアデノシン)、tZR(トランスゼアチンリボシド)、グルコシド型のiP7G(イソペンテニルアデニン-7-グルコシド)ともに(図1)、中輪遺伝子型(gg)の品種に比較して低下している(図2、一部データ略)。
  2. 細胞分裂期の花冠では、サイトカイニン生合成酵素遺伝子として、少なくとも1種類のフォスフォリボヒドロラーゼ遺伝子(PhLOG)、イソペンテニル転移酵素遺伝子(SHO)、2種類のサイトカイニン酸化酵素遺伝子(PhCKX1PhCKX2)、サイトカイニン初期情報伝達系遺伝子として、少なくとも3種類のタイプAレスポンスレギュレーター遺伝子(PhRR1-3)が発現している(図1)。
  3. 大輪遺伝子型の系統・品種では、中輪遺伝子型の系統・品種に比較して、細胞分裂期の花冠におけるPhLOGおよびSHOでは発現量に差が認められないが、PhCKX1PhCKX2PhRR1-3の発現は著しく高い(図2。一部データ略)。
  4. このような、大輪遺伝子型の品種・系統におけるサイトカイニン生合成系・情報伝達系遺伝子の発現変化は、サイトカイニンシグナルの亢進によって起こる変化と共通している。
成果の活用面・留意点
  1. 大輪化、ひいては植物器官の大型化の分子機構解明に資する知見として、大学、独立行政法人、公設試験研究機関等の研究者が活用できる知見である。
  2. 大輪品種におけるサイトカイニン酸化酵素遺伝子、タイプAレスポンスレギュレーター遺伝子の発現上昇は、サイトカイニンシグナルの亢進によって起こることが予想されるが、一方で、大輪化により、サイトカイニンシグナルを抑制する負のフィードバックが誘導された可能性もあることに留意する必要がある。
図表1 235620-1.gif
図表2 235620-2.gif
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/flower/2011/141h0_10_13.html
カテゴリ 育種 品種 ペチュニア

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