観葉植物ヘデラの害虫ゾウムシを新種として発表

タイトル 観葉植物ヘデラの害虫ゾウムシを新種として発表
担当機関 (独)農業環境技術研究所
研究期間
研究担当者 吉武 啓
宮原慎一郎
西野 実
鈴木 賢
発行年度 2012
要約 三重県の観葉植物栽培施設内で発生したヘデラの害虫について分類学的研究を行った結果、未知の種であることが判明したため、新種ヘデラアカアシカタゾウムシMetapocyrtus (Trachycyrtus) hederaephilus Yoshitakeとして発表しました。
背景・ねらい 2010年、三重県下の観葉植物栽培施設内で見慣れない害虫によるヘデラ(別名アイビーまたはセイヨウキヅタ)の食害が発生しました。この害虫は、フィリピンを中心に約220種が知られるアカアシカタゾウムシ属の1種であることは明らかになりましたが、種名までは特定されていませんでした。そこで、この害虫の正体を明らかするために分類学的研究を行いました。
成果の内容・特徴 園芸植物あるいは地被植物として幅広く利用されているヘデラの害虫ゾウムシについて、国内外の研究機関に所蔵されている標本を材料に、詳細な形態観察に基づく分類学的研究を行った結果、未知の種であることが確認できたので、新種ヘデラアカアシカタゾウムシMetapocyrtus (Trachycyrtus) hederaephilus Yoshitakeとして命名し、発表しました(図1)。
本種(図1)は、体長5.5~7.0mmで、体は赤褐色~暗褐色、まばらな微毛に覆われます。頭部と前胸、上翅は円形の金緑色の鱗片を装い、その鱗片は前胸と上翅で不明瞭な斑紋を形成します。オス(図1左)は体形がひょうたん形で、脚は長くて頑強である一方、メスはより頑強な体形をしており、脚はより短くて細いなどの違いがあります。本種はヘデラを寄主植物とし、成虫は寄主の茎や葉を食害します。幼虫は土中で根を食害して成育し、成熟すると土繭を作ってその中で蛹化します(図2)。ただし、これらは栽培施設内で得られた知見であり、自然条件下でのその生態は不明です。三重県の一地点で発生が確認された以外、本種の分布に関する情報は一切ありません。人為的な環境下で突然発生した本種が日本在来とは考えにくいため、外来種であろうと考えられますが、原産地、侵入経路も含め、発生に至った経緯は不明です。
今回、ヘデラの害虫ゾウムシの種名が確定するとともに、形態的特徴や加害生態に関する情報が整理されたことにより、今後農業や植物検疫に携わる人々への情報提供のための基盤が整いました。
図表1 235879-1.png
図表2 235879-2.jpg
研究内容 http://www.niaes.affrc.go.jp/sinfo/result/result29/result29_56.html
カテゴリ 害虫 シカ 植物検疫 ひょうたん ヘデラ

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