ハクビシンは綱渡りが得意であり、侵入防止経路として配慮が必要である

タイトル ハクビシンは綱渡りが得意であり、侵入防止経路として配慮が必要である
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究期間 2007~2009
研究担当者 江口祐輔
発行年度 2012
要約 果樹園や家屋で侵入被害が増えているハクビシンは細いワイヤーや、大きな弛みがあるロープの上を歩行することができる。侵入防止対策にあたっては、果樹の枝固定用針金や電話線などを伝っての侵入にも配慮する必要がある。
キーワード ハクビシン、綱渡り、鳥獣害、運動能力、野生動物
背景・ねらい 近年、ハクビシンによる農作物被害や家屋への侵入被害が各地で発生している。早急な被害対策が必要とされ、電気柵などの物理的防除が試みられている。ハクビシンは木登り能力やバランス能力に長けた動物であり、家屋や農業施設内まで伸びる電線などがハクビシンの侵入経路となり被害を助長させている可能性があるが、ハクビシンにとって侵入可能な足場条件を具体的数値で実証した研究は報告されていない。
そこで本研究では、侵入経路の把握をするための基礎的知見を得るために、バランス能力に注目し、歩行可能なロープの太さおよび弛みについて行動学的手法により検討することを目的とする。
成果の内容・特徴
  1. 異なる太さのロープ(直径22mmから3mm)やワイヤー(2.1mmから0.3mm)におけるハクビシンの綱渡り能力を調査した結果、4頭中2頭が直径0.8mmのワイヤーの上を歩行できる(図1、表1)。
  2. 他の2個体はそれぞれ、直径22mmと直径4mmのロープの上を歩行して渡ることができる(表1)。
  3. すべての供試個体において、直径0.5mmのワイヤーにおいては綱渡りをすることができない(表1)。
  4. 緊張時のロープ長175cm、直径22mmのロープを用いて大きな弛みがある条件(緊張時ロープ長+5~50cm)でハクビシンに綱渡りをさせたところ、ロープの上をすべての個体が歩行できる(図2、表2)。
  5. 綱渡りする際は尾を繊細に動かしてバランスをとることが重要であり、何らかの理由で尾が曲がっている個体は、バランスを崩してロープにぶら下がりながら移動する。
成果の活用面・留意点
  1. ハクビシンの木登りが得意なことは知られているが、細い枝や果樹園の枝や蔓を固定する針金も渡ることができるため、果樹の枝固定用ワイヤーなどからの侵入にも備える必要がある。
  2. 電話線などはハクビシンにとって容易に渡れる通路となるので、家屋侵入経路となる可能性がある。侵入防止対策の検討にあたり、こうした点についても留意する必要がある。
  3. 侵入経路を特定することで、近隣の農作物を荒らしているハクビシンを家屋内で捕獲することができる。
図表1 236226-1.png
図表2 236226-2.png
図表3 236226-3.png
図表4 236226-4.png
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/warc/2012/420d0_02_14.html
カテゴリ 病害虫 鳥獣害 防除

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